お客様指向サービス経営事例(ホンダ販売店)

本田の販売店「ホンダカーズ中央神奈川」はここ13年間、全国のホンダ販売店の中で顧客満足度日本一に輝いている。昭和44年にホンダを退職して創業した相澤賢二氏は、黙っていても売れた高度成長期を経験したが、ある時期から不眠に悩まされたそうです。「お客様が急に他店にいってしまうのでは・・・」と。悩みぬいて行きついたのは、「お客様のことを良く知らないがためにこんな不安に駆られる」と。お客様が不満を持っているのか、満足されているのか分からない事だった。それで思い立ったのは「葉書アンケート」だった。これを始めて以来13年ホンダ販売店顧客満足度ナンバーワン継続中とのこと。

経営の最重点指針を「お客様から如何に褒められるか」(販売台数ではなく)とした。社員の評価もアンケート結果。頂いたアンケートには社長自らかならず返事を出す。「不満足」と書かれたお客様には飛んでいきお詫びする。葉書の回収率は34%(通常は数%)。

この様な活動で分ったこと。

  • 1:お客様は「自分で決めたい」。営業マンは押しつけではなくアドバイザーとしてお客様が決めるお手伝いをする役目。
  • 2:お客様は「人で決めたい」。笑顔が良くて、人柄が良くて、店内のスタッフの人間関係が何とも良くて、きびきびしていて、・・・。
  • 3:商品知識を100%求めていない。10個中2個程度は答えられなくていい。答えられないものはすぐ調べて、すぐ回答する。その誠意が伝わり、「お客様のお陰で勉強させていただきました」と伝える。「あの営業マンは俺が育ててやった」となれば、一生モノになっていく。

ロイヤリティ(継続的な利用意向)戦略の要は、商品以上に「人」ですね。商品がいくら立派でも、一生モノのお客様にするには「人」しかない!

(チームの底力!ホンダカーズ中央神奈川の「最高のサービスを生む組織の作り方」相澤賢二著、PHP研究所、2011.6.8発行)より

会社は変われる!

タイトルを題名とする本が6月に出版されている。副題が「ドコモ100日の挑戦」とあります。元日本コカコーラ会長の魚谷正彦氏が低迷していたNTTドコモの改革に寄与した軌跡を記述したものです。2006年の「ケータイ満足度調査」で競合2社に惨敗し、新聞では大々的に「巨人の凋落」と酷評されていたが、2010年に堂々の一位を勝ち得たのだ。確かに、この7月21日に発表されたサービス産業生産性協議会が発表したJCSI(日本版顧客満足度指数)の調査結果でも、キャリアで昨年に続き一位となっている。

魚谷氏曰く「お客様起点のマーケッティング」発想に基づく改革を徹底したとのこと。何が問題だったか?価格の高い機種を買ってくれるお客様が一番いいお客様で、高いものを如何に買ってもらうかが社全体の課題であった。これはまさに作り手側の発想。そしてさらには、既存顧客よりは新規契約の拡大に注力していた。こうして、他社との競争においてドコモブランドの劣化が進んでいた。

そのため、「手のひらに、明日をのせて」のスローガンのもと、社長が先頭に立って、お客様起点の意識改革に取り組んだ。「コンタクトポイントの量と質がブランドを高める」ことは分かっていても、3万人のスタッフの行動方向性が統一できていただろうか?具体的なターゲット顧客を決めるには?高度成長期とは違い、成熟期では新規顧客以上に顧客基盤の強化(既存顧客が維持できるブランド力)が必須。いわゆる「ロイヤリティ戦略(継続的な利用意向)」こそが重要となる。

社長がトップの「ロイヤリティ・マーケティング委員会」では、100以上の具体的なアクションを決めた。その中の一つが電池無料交換期間の短縮(プレミアム会員向け)であった。寿命が1年3カ月程度と知りながら交換は2年としていたのを1年にした。社員も気付いていたが、コストがかかるため言い出せなかった。

このような活動で3年で会社が大きく変わった結果が顧客満足度一位であった。

先週27日のJASIPA定期交流会で講演して頂いた小松製作所の渕上様の主題は「本業回帰で劇的な収益向上」でした。とかく業績が思わしくないときは、新規事業に関心が向き、新規顧客拡大に目が向く。渕上様曰く、新日鉄はじめ多くの大企業もそれで大失敗に終わっていると。成熟社会の今、既存のお客様に視点をあてた活動を重視し、お客さま視点のサービス強化で他社との差別化、すなわちブランド化で企業をよみがえらせる、そのための具体的な方策を打ちだすべきではなかろうか。先述のサービス産業生産性協議会のJCSI調査結果(*1)では昨年と一位が逆転した業種が増えつつあるそうだ。まだサービス競争は緒に就いたばかり、早く目覚めた企業が勝ち組になれる、

 *1:http://activity.jpc-net.jp/detail/srv/activity001042.html

T6会 楽しいひと時でした!

昨夜、大学1回生の時のクラス会をやりました(卒業学科での同期会は良くやるのですが、クラス会、それも1回生のクラス会は珍しい!)。といっても出席者は9人でしたが(一人工学院大学の教授がドタキャン)、名古屋からわざわざ2名が来てくれ、盛り上がりました。6組だったので、「T6会(工学部6組)」と称して、7~8年前に私も発起人になって始めたのですが、なかなか集まれず、今回で3回目の実現となりました。

このクラスは、特異なクラスで、普通は機械、電気、建築など学科別にクラス編成するのですが、当時としても珍しいロシア語を第二外国語(ほとんどの人はドイツ語)としたクラス(一クラスのみ)のため、いろんな学科の人が集まっていました。昨夜も電気、建築、原子核専攻とめったに会えない面々が顔を合わせました(ロシア語の試験は、辞書など何でも持ち込み可能だったこともあり、ロシア語は全く忘却のかなたですが)。

退職して悠々自適の人や、第二の人生を囲碁にかけたり(原子力関係の会社を退職後日本棋院に再就職)、山梨に600坪の土地を買い果樹園を作ったり(取れたスモモをもってきてくれた)、未だに現役で頑張っている人など多士済々。電気学科を出て名古屋で弁護士をやっている変わったご仁もいます。はじめは顔も分からなかった人も、いつの間にやら学生時代を思い出し、次第に名前と顔が一致してくるから不思議です。

あっと言う間に3時間が過ぎました。高校同期の会(東京地区)も年に2回ほどやっていますが、このような集まりは一時のオアシスです。ほんとに気持ち良い時を過ごせました。みんなも気分よく帰ってくれたものと思います。誰彼となく、これからも継続要請が出て、私が永久幹事となってしまいました。(写真を撮り忘れたのが残念!)

           新宿センタービル53F「月の蔵」にて

冲中一郎