「人材育成」カテゴリーアーカイブ

JASIPA研修「正しい日本語研修」に参加して(22日)

元NECフィールディングの西山義久氏のご厚意で、標記研修がJASIPA研修委員会(林委員長)主催で実施された。西山氏は、堀事務局長の元部下で、元の職場でCS向上研修を中心にビジネスマナー、電話応対、ビジネス文書など社会人として必要とされるコミュニケーション研修を実施されてきたプロフェッショナル・インストラクターだ。今回は、お客さまや上司とのコミュニケーションにおける敬語の使い方に関する講義をやって頂いた。参加者は10名、会員企業から若いリーダーの方も4名参加。

ビジネスマンの作法として、相手を敬う“尊敬語”、自分をへりくだって相手への敬意を示す“謙譲語”、丁寧な印象を相手に与える“丁寧語”、上品な印象を与える“美化語”を意識して使用することが、良好な人間関係作りやコミュニケーションに有用と説く。私も、敬語に関してこのように体系立てて教育を受けるのは社会人生活40数年で初めてだった。

西山講師から「行く」の丁寧語は?尊敬語は?謙譲語は?と問われて一瞬戸惑う。丁寧語は「行きます」、尊敬語は「いらっしゃいます」または「行かれます」、謙譲語は「伺います」「まいります」と聞かされて、なるほどとあらためて納得する。「する」、「言う」、「食べる」、「見る」、「いる」について皆さんも一度考えて見てはいかがでしょうか。

4種類の敬語表現に加えて、ビジネス特有の言い回しに関しても教えて頂いた。お客さまに関して、あるいは電話対応などでこんな表現を使っていませんか?( )内に正しい表現を記します。

  • ごめんなさい(申し訳ございません)
  • わかりました(承知いたしました)
  • ちょっと待ってください(少々お待ちください)
  • 何の用でしょうか(ご用件をお伺いします)
  • わかりません(わかりかねます)
  • できません(いたしかねます)

さらには、単語そのものの使い方もビジネスにふさわしい使い方がある。

  • 昨日(さくじつ)、今日(本日)、あした(あす/みょうにち)、去年(昨年)、ゆうべ(昨夜)
  • もうすぐ(間もなく)、今(ただいま)、あとで(のちほど)、さっき(さきほど)、ちょっと(少々)、じゃぁ(それでは)、どっち(どちら)

社外の人の前では、「役職名」の○○様がもっとも良い表現。

敬語を意識しすぎて、過剰敬語表現になることにも要注意!

  • 「○○様がそうおっしゃられました」(○○様がそうおっしゃいました)
  • 「専務はお席におられますでしょうか」(専務はお席におられるでしょうか/いらっしゃいますか)

本来は2~3時間(実習含めて)の講義を今回は1時間でお願いしたが、聞くことすべてが体系だっていてほんとに勉強になった。出席した方の評判も良かったようだ。ある人は、サービス業で有りながらお客さまとのコミュニケーションが取りにくい、または失礼な言い方にドキッとする社員も多くいることから、今回のような教育を考えて見たいと言う。いちいち事細かく覚えて表現することは困難だと思うが、敬語表現に対する認識を持って、日常的に場をわきまえながら、如何に慣れるかがポイントではないかと思う。グループ内でお互いに指摘しあうような雰囲気になればしめたものだ。

今後JASIPA研修委員会で、今回の研修をカリキュラムに組み込むことも検討される。CS(顧客満足度)が生命線のIT企業として、CS向上策の一環として捉え、会員企業の皆様も、一度受講機会を持たれることをお奨めしたい。

西山様ありがとうございました。

船井流経営法の神髄は「長所伸展法」!?

日本の経営コンサルティングの草分け的存在であり、コンサルティング会社として世界で初めて上場(1985年)を果たした船井総合研究所創業者・船井幸雄氏。今年1月肺炎で亡くなられたが、その傍らに仕え、4代目の社長として氏から船井総研を任された高嶋栄氏が、創業者から学んだ経営の要諦について話された記事が「致知2014/11号」に掲載されている。

タイトルは「経営者よ、企業経営に命を懸けよ」だったが、私が記事の中で特に興味を引いたのは「船井流経営法の神髄は“長所伸展法”」との言葉だった。日本のコンサルティング会社は10名未満の組織がほとんどの中で船井総研が約700名の規模まで成長したのは、船井幸雄氏の考え方をコンサルティングのベースに置き、その軸をブラさないからだと言いつつ、その真髄は“長所伸展法”との事だ。

コンサルティングの世界は、例えばMBAなど、外資系の手法が注入されやすい業界であり、そのアプローチ方法は短所改善、問題解決型だと言う。ますます競争が激しくなる中で、問題解決型で、ある問題解決が出来たとしても、他社を凌ぐ改善策になるのは難しい。それよりも、長所を、お客さまにとってピカッと光る魅力的なものにする方が近道との考え方だ。しかし、お客様の実態を分析すると山のように出てくる短所に、長所が埋もれていることが多いため、如何に長所を抽出するかが腕の見せ所と言う。

長所を伸ばすか、短所を克服するかの判断は難しいとは思うが、より難しいのは、長所を如何に見出すかだと思う。私も講演でよく言っているが、「自分あるいは部下の強み」はなかなか出てこないが、「欠点、短所」はいくつも出てくる。「自分の会社の強みは?」というより、「自分の会社の弱みは」の方が答えは出やすい。人はとかく欠点を見ることに慣れて、長所を見ることには慣れていない。意識して長所を見る、いわゆる「美点凝視」を人材育成のポイントと指摘される経営者が増えていると聞く。「長所伸展法」は、コンサルティングだけではなく、人の育成にも通ずる話と思うが如何?

部下を勇気づけるには「感謝」の気持ちを伝えること!

「自己啓発の父」とも呼ばれ、その心理学は「勇気づけの心理学」とも言われているアルフレッド・アドラーの名言をシリーズで伝えている日経ビジネスonlineの記事(http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20140905/270838/?n_cid=nbpnbo_leaf_bnlu&rt=nocnt)がある。筆者は組織人事コンサルタントの小倉広氏。第1回目は9月17日でタイトルは「“挑戦する部下”と”逃げ出す部下“」。人を大切にする「コンシャスカンパニー」(当ブログで2回にわたって掲載)の考え方に一部共通する点があり、とりあげる。

アドラーは、「挑戦」を選ぶ建設的な行動「逃避」を選ぶ非建設的な行動の違いは、「勇気」があるかどうかだと言う。そして「勇気」を下記のように定義する。

「勇気」=「困難」を克服する活力」

そして

「人は“自分が誰かの役に立つことが出来る”と思えるときにだけ勇気を持つことが出来る」

とも言う。つまり、自己肯定感を持てる時に勇気が出る。そこで、小倉氏は、「アドラーに学ぶ部下育成の心理学」{日経BP社、2014.8刊}において、アドラーの名言に基づいた部下育成術を伝授されているそうだ。それは「褒めて育てる」「叱って育てる」「教えて育てる」といった常識を的外れだと指摘し下記のような方法を提示している。小倉氏の経験からも、油に乗って果敢に挑戦意欲が湧くときは、「自分は出来る」「誰かの役に立てる」と信じることが出来ていたと言う。そこで、「勇気づけ」の基本は、相手が「自分は誰かの役に立てる」と思えるように声をかけ、見守ること。具体的にはアドラーの言うように

「“感謝”を伝えることが最も有効だ」

と言う。「あなたのお蔭でとても助かったよ」「ありがとう。ほんとに嬉しいよ」と。他にも「良い点をみつけ、注目する」などいくつかを提案している。「部下の間違っている点をただし、良い点を伸ばす」育て方は、「部下をコントロールすること」で、「相互信頼、相互尊敬」に基づく行為ではないと指摘する。

「コンシャスカンパニー」のコンシャス・カルチャーの章に、社内に愛と思いやりの雰囲気を作りだすためのホールフーズマーケットでの取り組みの紹介がある。それは

あらゆるミーティングを自発的な感謝の表明で終わらせる

こと。ミーティングの最後の時間を取って参加者のだれかが別の参加者に感謝する機会を与える。内容は、最近一緒に成し遂げた事、好意や親切を示してくれたこと、あるいはその人について自分が好きである点や尊敬できる点など、何でもよい。大抵は、一人一人だけでなく何人かに向けて感謝の意を述べる。

人はミーティングでは批判的にモノを考えがちになり、他の人々の発言に黙って耳を傾けながら、ついつい粗探しをはじめてしまう。感謝の言葉でミーティングを終えると、批判的な場が愛と思いやりの場に変わる。

同じ本に、ノーベル平和賞をもらったシュバイツアーの言葉が紹介されている。

「あなたの運命がどうなるかを私は知らない。しかし一つだけ私に分かっていることがある。それは皆さんの中で、ほんとに幸せな人と言うのは、いかにして他人に奉仕するかを探求し、それを発見した人だということである」

人の役に立つことで生れる“自己肯定感”と”勇気“、それを引き出すための感謝の気持ちの伝達、これが部下のエンパワーメント、ひいてはイノベーション力につながることをアドラーと実際にそのような文化を自社に作りあげてきたジョン・マッキーが言っている。行動するのはあなただ。