社会的弱者を救う制度が改定されます!


従来300人超えの従業員の企業に対して、障害者雇用率1.8%未達成の場合、不足する障害者数に応じて一人につき月額5万円の障害者雇用納付金を納付しなければならないこととされていました。これが昨年平成22年7月からは200人を超え300人以下の企業も納付金を納めることになりました(平成27年6月までは過渡的に月額4万円、以降は5万円納付)。そしてさらに平成27年4月1日から100人を超え200人以下の企業にもこの納付金制度が拡大されます。さらには、障害者雇用率も、時期は未定ですがいずれ1.8%を2%にすることがほぼ決定しているとの情報もあります。

さらに先週26日の厚労省のニュースでは、メンタルヘルス対策を来年秋から義務化する見込み(今臨時国会に提出)だとか。改正案は、全従業員の精神状態の把握を義務化し、検査結果は医師や保健師から従業員へ直接通知し、本人の同意なしに事業者に提供することを禁ずる。従業員は希望すれば医師の面接指導を受けられるという内容です。

そんな事言われても、経営が厳しくそんな余裕はない、と悲鳴を上げる経営者の方も多いと思われます。が、障害者(障害手帳を持つ人)が全人口の6%を占める状況の中、社会的弱者として切り捨てることは出来ません。企業が救うしか道はないのです。

そんな中、2000年にITサービスカンパニー「アイエスエフネット」を立ち上げ、今ではグループ社員数2000名にまでしたのが渡邉幸義社長。それも、雇用の創造を大義に「十大雇用」のスローガンのもと、ニート・フリーター、障害者、育児や介護従事者、引きこもり、シニア、ボーダーライン(軽度な障害で障害者手帳不所持の方)、DV被害者、難民、ホームレス、その他就労困難者の雇用に積極的に勤めつつ、利益を上げ続けているという。正社員としての採用も行っており、定年(実は定年制度もなく自ら引退を希望するまで)までの採用を原則約束しているそうだ。要は、母親も巻き込んで、障害者の出きることをみつけ、戦力として働いてもらうことへの取り組みが基本となっています。障害者雇用に限ると、今は雇用率2.3%強ですが、近いうちに6%にしたいと言われています。就労困難者の就労支援を目的にNPO法人も作られています。渡邉社長の前職はDECでしたが、盛和塾〔経営者育成のために稲盛和夫氏が作られた塾〕で修練され、家族経営を目指して会社を設立されました。いわき市で障害者雇用のために作られた「匠カフェ」も該社特例子会社のものです。海外にも拠点を持ち、韓国の人に「こんなすばらしい会社が日本の会社。なぜ韓国ではこんな会社がないのか」と言わしめたとの実話があるそうです。

今、世の中では、冒頭の規制が厳しくなるにつれ、企業の求める障害者人材(身体障害者など戦力人材を求める)と供給のアンバランスが年々拡大しており、法定雇用率を守っていない企業が50%以上あると言います(平均効用率が1.68%)。従って障害者数を満たそうとすれば、雇用が難しいと言われている精神障害者にまで手を伸ばさざるを得なくなるのが実態のようです。上記「ISFNET」社においては、精神障害者の方も含む就労困難者の就労訓練をはじめ、障害者雇用のためのコンサルも行っておられます。

一度JASIPA会員企業向けに、障害者の雇用、戦力化ノウハウを伝授いただく機会を設けたいと思っています。

「社会的弱者を救う制度が改定されます!」への2件のフィードバック

  1. メンタルヘルス施策の義務化に関して、日経BP NETに香山リカさんの記事が掲載されていましたので、参考にして下さい。http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20111028/288920/?ST=business&P=1

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