将来世代を考える国のリーダーは?

参院選が近づいてきた。選挙年齢が18歳に引き下げられ、若い人たちに投票を呼びかける活動も活発に行われている。以前当ブログで、“問題「先送り」で日本の破局は不可避?”(http://okinaka.jasipa.jp/archives/1257)との記事で、将来世代につけを残さない政治ができないものか、問題提起をした。7月4日の日経夕刊1面の「あすへの話題」のコラムに新日鉄住金宗岡正二会長が寄稿している。タイトルは「将来世代を考える」。
宗岡氏は、日本の喫緊の課題として財政赤字を取り上げ、社会保障と税の一体改革で国際的信認を取り戻すはずの消費税をまたしても先送りにしたことを取り上げている。我々世代がこの負の遺産にメスを入れず、将来世代に先送りしてよいものだろうかと問題提起をしている。企業経営では許されないことであり、年度決算ごとに負の処置を怠れば、いずれ経営破たんに陥ることは歴史が教えてくれるという。さらに、国民は国のリーダーたるものには、国民目線よりはるかに高い視点で百年先を考え抜いて、将来世代が不安なく生活できる日本の将来像を指示してほしいと願っているはず。そのために必要な政策は何か。そして、我々世代が負うべき義務は何かを示してほしい。我々世代も、自分達だけが自分の利益を享受する政策ばかり求めるのではなく、将来世代の利益や負担にも思いをいたす気構えを持ちたいものだ。日本が成長路線に回帰するためには、痛みを伴ってでも大胆な規制緩和、構造改革に踏み込まざるを得まい。「国家が皆さんのために何をなしうるかを問うのではなく、皆さんが国家に何をなしうるかを考えようではありませんか」とのケネディ大統領就任あいさつを紹介し、ケネディ大統領のような志の高い政治家を育て、受け入れる国民でありたい、と締めくくっている。
私も退職して時間ができ、新聞、テレビなどでニュースを聞く時間が圧倒的に増えた。今回の参議院選挙に関しても様々な情報が耳に入る。宗岡氏の提案に賛同できるが、この趣旨でどの党に、誰に投票すればいいのか選択肢がない。安倍総理は遊説に注力しているが、「アベノミクスがなぜ思ったように成果が出ていないのか」、その反省を生かして「今後このように取り組むか」と論理立てて説明してほしいと願うのは私だけだろうか。遊説では、経済政策については、これまでの衆議院選挙や、参議院選挙での演説の繰り返しで、法政大学の杉田教授は「“果実が見えないのは、まだアベノミクスが足りないからエンジンをふかすしかない”との論法だが、これはギャンブルに勝てるまで掛け金を積み続けばいいという論理に似ている。期限を切って“こういう数字を出す”と約束しなければ国民として評価できない」という。金融緩和の出口戦略に関しても全く言及せず紙幣を増刷している現状に国民も大いなる不安を持っているのではないだろうか。失業率や求人倍率の改善を言うなら、消費の低迷の理由も説明しなければ理解不能だ。公約違反を「新しい判断」と言ったり、野党を批判することで「野党よりまし」との論理でごまかさず、若い世代が納得できるような説明が欲しい。野党も、将来の不安をなくすための具体的な施策を今こそ展開すべきではなかろうか?

選挙年齢引き下げを契機に、若い人たちの声も反映したあるべき政治の姿へと変革せねばと強く思う。まずは正常な民主主義を実現するために、「1強多弱」を改善し、与野党協調・牽制体制で日本の将来を議論する環境つくりか?

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