かかり付け医の紹介で昭和大学北部病院へ行った。結構早く終わったので港北ニュータウン東急デパートへ寄った。入ってみるとどうも様子がおかしい。先ず、デパートの匂いがしない。普通、1階に化粧品や女性のアクセサリーなどが華やかにディスプレイされているものだ。それが何もない。2階へ行ってもおかしい。3階へ行って「自分は本当にデパートの中にいるのかどうか」確かめるために入口まで行って見てみた。確かに「KOUHOKUTOUKYU」なる表示があった。多分デパートなのだ。
上に上がっていったら、最上階は全フロア100円ショップの「大創」で、あらゆるジャンルの商品が見かけなどはお構いなしに陳列されていた。その下は「赤ちゃん本舗」で、あとはエステや安物を売る店ばかりだった。
以前は厳選された中級品が多く結構夢のあるデパートだった。SCの他のテナントもUNIQLOやGAPなど、ファスト流通とファストフードが大半だ。しかし、ファストフード以外の普通の食堂は反対に昼食でも1,000円を切ったメニューはなかった。仕方が無いのであざみ野まで帰り、駅前の中華料理店で950円の半ラーメンと海老卵焼きのセットを食べた。
かのダーウィンは「適者生存ではなく、適応者生存」と言った。デパートの看板を下ろさずに、テナントに全てのフロアを明け渡して、不動産屋になるのも一種の適応ではあろう。あれだけの立派な建物を、他人から借りて賃借料を払っているとしたら、そろばんが成り立つのだろうか?自社ビルなので、やっと成り立つビジネスモデル(こんなのをビジネスモデルと呼びたくはないが)なのではないか?
数寄屋橋の西武が最近「デパート」から撤退した。元々鉄道業の東急や西武などの企業DNAには、お客の気持ちになって考える思考パターンがないのではないか。鉄道で培った地域独占の「乗せてやる式の思考パターン」は、流通業や一般のサービス業では通用しない。
ここには、論理の飛躍があったようだ。なぜなら、デパートで壊れているのは電鉄系だけではないからだ。
元々、パリの元祖百貨店「オ・プランタン」や「ギャルリー・ラファイエット」などは「流通革命の旗手」として、従来の貴族相手で、お高くとまった専門店から、新興のブルジョワジーに対して一箇所で、色々なブランドの商品を手厚くもてなして売ること(今で言うところのワンストップソリューション)がコンセプトだったはずだ。そのデパートが、100円でワンストップソリューションを売る「大創」に母屋を売り渡したのは何故なのだろうか?
勿論デパートにも欲しいものは結構ある。しかし値段が余りにも高い。Yシャツは2万円弱でUNIQLOの10倍だ。一寸観ただけでは10倍の差は認められない。しかも、Yシャツはいわば消耗品だ。その他の商品でも、魅力のあるものは主として海外のブランド物だが、我々の想定価格の3,4倍だ。50%offでやっと想定価格に近づく。
デパートはリスクを取らないので、自分で企画して、中国やその他の労働力の安い地域で製造して、販売することなどはしていない。元々返品のリスクさえ負わないで、国内ブランドに場所を提供し、店員さえも派遣させ、場所代を取って飯を食べて来た伝統がある。しかも、出入りの業者からリベートを取った経営者も沢山いた。マーチャンダイジングはおろか与えられた商品の良し悪しを見分けることさえ出来ない。そこで安易に儲けられる、海外のブランドへ走ったのが近過去の世界だ。海外ブランドも駄目となれば、どうしたら良いか分からなくなった。
IKEAの店へ行けば分かる。彼らは商品企画とデザインはスウェーデンで行い、製造は全て賃金の安い地域で行っている。しかも販売は物価の相対的に高い先進国で行っている。厳密な意味での質はそんなに高くないが、デザインと見掛けがよく値段を考えるとお得な商品が多い。土日は駐車場が一杯で何処の店も、行けない状態が続いている。もっと早くデパートはIKEAやその他の安くて良い商品を売っている店を研究すべきだった。危機感の欠如と勉強不足が、今日の事態を「自ら将来した」のだ。商品企画力に勝る伊勢丹が三越を飲み込んだのは当たり前だ。
匿名
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検索語を ブルジョワ 化粧品 で楽天、yahoo!、amazonから串刺し検索(複数のデータから同時に検索すること)をしてみた。以下はその結果の一覧