懇親パーティでご挨拶「IT業界2007年のリスクとチャンス」

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昨日のJASIPA交流会懇親パーティで以下のようにご挨拶をしました。以下に講演会と交流会の写真

イントロダクション

最近良く「2007年問題」が話題になります。主として団塊世代の大量退職に伴う「ノウハウの継承問題」が論じられております。東京ではリッツカールトンやペニンシュラと言った高級ホテルの進出に伴う「ホテル戦争」も「2007年問題」として話題になっております。しかし最大の「2007年問題はIT業界にこそある」のではと私は思っております。3つの大きなリスクがあります。正月早々に恐縮なのですが・・

リスク1.海外企業によるオフショアリング

JASIPAグローバルビジネス委員会で2月に調査訪問する予定になっているヴェトナムでは大卒の初任給は1万円で日本の約20分の一です。日本で大学を出た日本語の堪能な人が「日本語の仕様書で」受注しヴェトナムで開発し、日本語に戻して納品する「ビジネスモデル」が流行り出しております。従来のオフショアリングは「日本のIT企業主体」で行われましたがこのケースでは日本のIT企業は完全にパスされてしまいます。

リスク2.中国IT企業の実力と日本進出

中国のグーグルと言われ、中国検索市場の65%を占めている「百度(ばいどぅ)」が日本へ進出してきます。今や中国IT企業は実力でも日本の下請けなどではありません。中国IT企業による日本のIT企業買収も増えているようです。何しろ中国には「元安政策」でドルが有り余っております。

リスク3.アメリカのオープンソースソフトウェアのASP

アメリカではオープンソースソフトを使ったアプリケーションのサービス事業が医療や流通を中心に広がっております。「セールスフォースドットコム」をイメージしていただければ良いと思います。1人月5,6千円で使えます。アプリケーションASPのエントリーシステムにはタダのシステムもあり、メンテナンスサービス等をつけても極めて安く使えます。初期投資はゼロで、リスクも少なく増設もメンテナンスも容易です。日本へも一部上陸してきているようです。これが常識になれば「システム開発(SIビジネス)」は不要になってしまいます。

そうは言っても悪いことだけではありません。良く「リスクはチャンス」と言われます。

チャンス1.団塊世代の担ったIT業務の肩代わりアウトソーシング需要が発生

企業の中でITを担っていた団塊世代がいなくなれば当然「業務システムの開発やメンテナンスやシステムマネージメントのアウトソーシング」が盛んになります。

チャンス2.高速インターネットの普及によるIT需要創出

野村総研の最近の予測では2011年ですが、家庭の60%以上が光通信で結ばれ、携帯の保有は1億台になり、広告の10%(約7,500億円)がインターネット経由になると言われております。突然そうなるわけではありません。2007年も4,500億円のインターネット広告費が見込まれます。これらはIT業界にとっては大いなるチャンスです。

チャンス3.海外複数国のIT企業と多角的・多面的なタイアップの可能性

従来の韓国などのほかに中国やヴェトナム、インド、フィリッピン、ロシアなど多くの国とのタイアップのチャンスが広がります。また既に外国企業とタイアップされている会員様にとっては業務拡大の絶好のチャンスでもあります。是非JASIPAグローバルビジネス委員会に入って具体的に海外とのビジネスを始めて見て下さい。

要注意1.OSSでのアプリケーションサービスプロバイダーの動向

ただしオープンソースソフトウェアについては要注意です。決して甘くはないはずです。動向を是非注意深く見極めて頂きたいと思います。急激な台頭はないでしょうが、ERPソフトのSAP/R3では、日本の名だたるIT企業が押しなべてソフトウェアAG社の下請けになってしまった前例があります。最も最近ではSAP/R3の綻びも取りざたされておりますが。

変な挨拶になってしまいました。2007年のJASIPA会員の皆様の益々の繁栄を祈念しております。

1件のコメント

  1. 2007年最初の定期交流会

    BLOG_NAME ジョルス社長ブログ~ブログは人のためならず
    JASIPAネタ 1月25日、2007年最初のJASIPA定期交流会が開催された。以下、写真レポート。 関連情報 テクノクリエイション長谷川社長のエントリー→http://jasipa.jp/blog-entry/1405 ..

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