FD社友フォーラムで茂木弘道さんの講演「放射線の体への影響と原発問題」を聴いた。
ミズーリ大学名誉教授のラッキー博士の研究成果を踏まえて、10mシーベルト/時以下の放射能であれば健康に無害なだけでなくむしろ有益であることを沢山の実証試験と統計で実証した話をされた。ラドン温泉や放射線治療などは誰でもお馴染みの話だ。1985年カリフォルニア大学医学部主宰でオークランドでラッキー博士の新説の正否を議論する学会が開かれた。結論は「ラッキー博士の論文は科学的に正しいものであるが、哺乳動物や人に対するデータが乏しいため哺乳動物などの積極的な研究を要する」と言うものだった。
□ホルミシス効果の実証
東北大学医学部の坂本澄彦教授が悪性リンパ腫患者100名以上に行った臨床試験では、従来の臨床対応と平行して100mシーベルトの全身照射(週3回、5週間計1500mシーベルト)を行った結果、10年後の生存率が照射なし患者50%に対して、照射した患者が84%へと大きく改善した。
□欧米核施設での被爆者のデータ
8つの研究結果によれば癌死亡率で比較すると10%と低く、被爆量が増えるにつれて下がっているのである。
□LNT仮説
アメリカのハーマン・J・マーラー博士によって1927年に発表された。オスのショウジョウバエにエックス線を当てる実験を行ったところ、2代目3代目に奇形等の異常が出た。よって放射線は遺伝子に影響を与え、その被害の度合いは放射線量に比例すると発表し、後でノーベル物理学賞まで獲得した。このLNT仮説を採用しているのがICRF(国際放射線防護委員会)である。ここが人体に影響を与えない放射線量は年間1mシーベルトと決めたのだ。多くの生命体はDNAが放射能を浴びても修復活動を行うので低線量であれば問題ないと欧米の遺伝学者は発表している。
マーラー博士が実験に用いたショウジョウバエはDNAが修復活動を行わない実に珍しい生物であることも後で分かった。マーラー博士は高線量の放射線をショウジョウバエに当てる実験は行ったが低線量の実験は行っていない。「恐らく低線量では(被害の程度は)放射線量に比例するだろう」と言うあくまで仮説なのだ。
□ICRFの「年間1mシーベルト以下」
ICRFの「年間1mシーベルト以下」と言う説には何の科学的根拠はないとオックスフォード大学名誉教授で素粒子論の大家であるウェード・アリソン博士は著書「放射能と理性」の中で語っている。
以上が本当であれば福島で進められている除染作業の大半が気休めの無駄骨と言うことになり、「無知の代償」は少なくないことになる。知的財産権を守ることも大切だだが、無知による無駄な失費を無くすことも同じくらいに大切だ。
茂木さんは「史実を世界に発信する会」事務局長をされ、南京虐殺や韓国の慰安婦問題などで日本国や外務省に替わって日本史の真実を世界に向かって発信し続けている。世界に向けてものの言える数少ない日本人の一人なのだ。