南イタリア旅行7(ナポリ市内観光)

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今日は一日中ナポリ市内観光だ。一日ではとても足りないので優先順位をつけなければならない。Hop on Hop off 観光バスで回ることにした。ホテルで安く売っていたので一日券を買った。

まずルートAで国立考古学博物館Museo Archelogico Nationaleへ行った。元騎兵隊宿舎ストウディ館で、建物も立派で、展示品も素晴らしかった。建物の保守も行き届いており昨日の王宮とは格段の相違だった。国の威信をかけていると感じた。イタリアにも国のプライドがあるのだと感じられてイタリア語を習っている身としては嬉しかった。ギリシャ・ローマ時代の摸刻を含めた大理石像が沢山ありそのレベルもすごかった。50分後に同じバスA路線で丘の上の国立カポディモンテ美術館へ行った。ここは絵画が素晴らしかった。ティツィアーノ、ラファエッロ、カラバッジョ、マザッチョ、ミケランジェロなど国宝級の絵画がどっさり展示されていた。彫刻作品も素晴らしかった。ナポリに来たら又行きたい美術館の一つだ。

隣りのサン・ジェンナーロのカタコンベは見たかったが時間の関係でカットした。バスでムニチピオ広場まで行き、ケーブルカーのセントラル線で終点まで行き美術館へ行くことにしていた。ケーブルカーの駅が分かりづらかった。何の表示もない。観光客は想定外なのだ。上まで上がって地図を見たら別の線に乗り換えてもう一駅下った方が美術館の近くまで行けそうに思えたので乗り換えた。本当にそうなのか自信がなかったので乗っている人に「モンテサント美術館に一番近い駅はどこだ」と聞いたらここだとの回答が来た。慌ててケーブルカーから降りた。美術館へ行く道すがら良さそうな店があったので昼食にした。ここはもう観光地地区を離れているので驚くほど安かった。迷いながらやっとのことでモンテサント美術館に着いたら、老人の看守がアウディに乗りながら門の鍵を閉めて回っていた。パレルモと同じことになった。12時に終わりにして家に帰ってシエスタだ。

官の仕事は老人が多くアウディに乗って仕事もろくろくしない。次いでまた迷いながらサン・テルモ城と国立サン・マルティーノ博物館へ行った。かなり迷って行ったので時間がオーバーしていた。先ずサン・テルモ城を見て、次いでサン・マルティーノ博物館へ行く予定にしていた。サン・テルモ城は最悪だった。近代絵画が展示されていたが碌なものはなかった。イタリアの美術は近代化でスポンサーを失って死んだと思った。隣のサン・マルティーノ博物館へ行こうと言ったら、妻がストを起こした。「サン・マルティーノ博物館へ行くとナポリ海岸通りを周遊する最終バスに乗れない」というのだ。仕方ないので急いでムニチピオ広場まで戻ることにしたがケーブルカーの駅が分からない。3,4人に聞いてやっと下り線の駅へたどり着いた。

30分ほどの余裕をもってバス乗り場へたどり着いた。真っ先に乗ったので2階席の一番前にでんと座った。ナポリ湾の海は青と緑を混ぜた様な深い色で最高だった。青い海に浮かぶ白いヨット、遠景にベスビオス火山を頂き、近景には立派なお屋敷や松、赤いブーゲンビリアの花、プールの青と役者が揃っている。サンタルチア海岸をはるかに超えて、海岸すれすれのカラッチョロ通を西の端まで行って折り返してくる。ゴールデンルートだ。諺で「ナポリ見て死ね」英語では「Never say die before see Naples」だ。英語のフレーズも可笑しいが日本語訳も怪しい。

ホテルへ帰ってケーブルカーの帰り道で見つけたカルフールで買ったプロシュートやチーズなどいろいろ買い込んできた。更にホテルの近くで買ったプロセッコ(イタリア版シャンパーニュ)を飲んで夕食とした。明日は移動日だ。ナポリ最後の結構豪華な晩餐になった。

美術館で”Ultima Cena”(最後の晩餐)を見たことを思い出した。こちらの絵はダビンチのそれとは異なりアンダーテーブルでお金を渡そうとしている人やユダの表情などおぞましい現実をリアルに描き出していた。余り見たくない絵だ。ダビンチの絵にも暗喩としていろいろ描きこまれているようだ。やはりダビンチの方が奥は深いのかも知れない。

本当はカゼルタ宮殿へも行きたかったが、どうしても半日の時間が割り出せなかった。仕方ないのでナポリには又来ることにした。