JASIPA定期交流会開催ご報告ブログから梅田さんの講演部分を抜き取りました。IT企業経営者必見のお役に立つノウハウが一杯詰まっております。ご参考にして下さい。もし分からない所があれば梅田さんへ直接問い合わせをして下さい。教えてくれます。(このブログは梅田様のご好意により公開させて頂くことになったものです。感謝!)
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┗■ ┗会社の雰囲気を良くし人を育てるための具体的施策あれこれ
株式会社システムインテグレータ 代表取締役社長 梅田弘之様
自社の経験を踏まえて、人材育成とIT企業経営のノウハウを余すところ無しに伝授して頂いた。
□起業の目的「漠然とした目標が、次第にクリアに」
1 |
新卒時(21歳) :この会社で出世するぞ! 転職時(31歳):38歳で独立しよう!経営者というものへの憧れ) 起業時(37歳):自分の力を試してみたい! (自信と不安) 起業後(40歳):理想の会社にして行きたい!(前職の良いとこ取り) 現在 (54歳):この業界のために役立ちたい!(公器の意識) |
□社是や経営方針などは必要か
・社是:「社員全員が一流の技術者」・経営方針:風通しの良い相互尊重の精神あふれる職場環境をみんなで作る。 その働きやすい雰囲気の中で創造力・技術力を常に高め、品質の高いソリューショ ンをお客様に提供し続ける。
□会社で大切な要素
・企業経営では最上位にビジョン(戦略)があり、営業力、技術力(製品力)で戦略を実現させることになる。営業力、技術力の元になるのが人材、仕組み(IT基盤など)である。(梅田社長は会社の基幹をなす基盤レイヤーである人材育成や会社の仕組み作成に尽力されて来た:編集者付記)。
□コーポレート・ロゴ&スローガン
・コンピュータは、人間の作業を効率化し価値の低い労働から解放するものである。 当社は、時間を奪うのではなく、時間を与え続けるソフトウェアを作り続ける。
□会社を運営する上で気を付けていること
1.会社の方向性と個人の目標のベクトルを合わせる
1 |
・理念(社是、経営方針、行動指針等)を明確化し、それを言い続ける。 ・中期計画>全社計画>部門アクションプラン>個人の目標管理(全体整合性を) ・社長のページ・・・社外向けであるが、同時に社内向けでもある。 |
2.経営者と社員のモチベーションの違いを自覚
1 |
・社長はゲームの主役だが、社員も同じだと勘違いしない。 ・経営者、中間管理職、一般社員の誰が一番激務か⇒中間管理職 |
3.「正直に行こう」を有言実行している限り、社員は付いてきてくれる
・究極の場面で本性が出る
4.人は自然と保守的に流れるので、トップ自ら自分の殻を破り続ける
・「うちはベンチャー会社だ!」
5.社長の役割は、良い社風(土台,ミーム)を築くこと
6.現代の人材育成はコーチング⇒役員全員がコーチングの訓練を受けている。
7.社員も経営者も成長している実感が大切⇒トップが成長し続けなければ社員も成 長し続けられない。
□社員育成の悪戦苦闘(当社の取り組み)
1 |
【社員育成で大切なこと】 ・勉強しようという雰囲気作り ・「この会社は成長させてくれる」との社員の納得 【他社はどうやっているのだろう?】 ・お互いを見せ合いっこ⇒MIJSの正式活動に! |
1.スキルの向上
1 |
・勉強会(月初勉強会/実践勉強会/自発的勉強会) cf:月初勉強会 月一回開催。社外にも公開。10年間続いている。「BPM~ビジネスを 改善するために~」などの新しい技術テーマで順番に担 当者がプレゼン。皆、プレゼン が上手くなったと評判だ。 ・研修制度・・・Challenge、Expert、e-Learning ・資格取得支援(試験代2回まで負担、目標設定、フォロー、見える化、結果発表) 資格そのものではなく取ろうとする努力やプロセスが大切。 ・ローテーション希望プログラム(自発的な応募者は多くない。 組織の活性化のためにトップダウンのローテーションも考慮) |
2.やる気の向上
1 |
・目標管理・・・業績目標7、自己啓発2、社内環境改善1、計画と評価+フォロー ・インセンティブ制度(営業は個人と部門、開発は部門)、社長賞 ・執筆活動(3つの目的)⇒新しい技術を勉強して、整理して出 版するので、自己啓発 にも役立つ。それで社員に執筆を勧めている。 |
3.良い職場環境
1 |
・改善提案活動(イントラネットに「提案・きづき」のサイト掲載) ・育児/介護の在宅勤務、リフレッシュ休暇 ・福利厚生(社員旅行/従業員持株会) ・SIマインドアワード(毎月1名表彰) 自分が楽しく仕事をしていて初めて、お客様にも嬉しいサービス が提供出来る。 社員が相互にみんなからコメントを貰う。「ほめる機会」になる。他人をウォッチする 意識が出て来る。 ・行動指針の180度アンケート For the Team の精神で行動指針に従って、上司はどうだったかを部下が評価する システムがある。 |
4.中途採用社員の早期戦力化
1 |
・理念・経営方針等の説明会及び懇親会 ・スキルやレベルに合わせた研修 |
5.新人の育成 ・チューター制度(3、4年目がマンツーマンで指導)・・・予算化が大切
□Challenge教育体系図
立場や役割に合わせ、必要な知識やスキルを身につけ、段階的にスキルアップできる教育制度である。
□ライフテーマ
1 |
1.ソフトウェア産業の近代化 2.日本のIT産業の国際競争力強化 ・日本のソフトウェア産業・・・20~30年も前から ・徒弟制度での教育、教育放棄している会社 ・標準化されないインターフェースと開発ドキュメント ・精神主義がまかり通るプロジェクト管理 ・ツールを使わない家内制手工業 ↓↓ ・労働集約的なやり方をやり続け・・⇒国際競争力が地を這う状態に |
□ソフト開発近代化の具体的プラン
1 |
1.教育の充実 階層別研修制度、資格取得支援、勉強会・セミナー、技術報告、執筆活動、 チューター制度、目標管理・・・ 2.プロジェクト管理の強化 統合型プロジェクト管理システム「OBPM」の開発・活用 ・見える化 ・標準化 3.ITの積極的活用 社内ポータルによるナレッジ共有 EPM発想による、業務のプロジェクト化とコスト管理徹底 部門ミーティング、経営会議のペーパーレス化 |
□日本のITの国際競争力強化1.MIJS(Made in Japan Software Consortium)の立ち上げと展開
1 |
・「日本のソフトを海外に!」という理念で集まったコンソーシアム ・3つの委員会活動を積極的に展開 2.MIJSの3つの委員会活動 ・海外展開委員会 海外でのマーケティングや流通のノウハウ、国内外のアライアンスを構築するための活動 ・製品技術強化委員会 会員企業のエンジニアが集まり、旬のテーマに関して共同で調査、検証、学習し アウトプットを出し続ける。 ・プロダクトビジネス推進委員会 ソフトウェアプロダクト・ITサービスの利用促進、販売増強、経営力 ・マーケティング力の向上を図る。 |
□18年間を振り返って・・・
1 |
1.創業期 とにかく自分で稼ぐ。 ビジネスの種・コアコンピタンスを作る。 2.発展期 ビジネスの種に水をやり拡大・拡張⇒体制を整備(役割と責任を明確化) ⇒ルールを明確に(許すこと、許さないことを明確に) 3.成長期 社員の育成(教育制度の充実、参加型研修への切替)⇒社外人脈(私利私欲を超えた付き 合い)⇒働きやすい環境作り(いつも明るく、風通し良い雰囲気)⇒次のビジネス基盤作り 4.(最近の反省)・・・いつの間にか緩みが… 俺たちはベンチャーだというマインドを再び。 |
□組織を活性化するための3段活用法
1 |
1.第1段 「Think Tank Windows」で課題を洗い出し・・・ 2.第2段 「Mind Map」で課題を整理し、具体的対策を講じる 3.第3段 「ガントチャート」に対策を転記し、担当とスケジュールを設定 |
ご参考:ガントチャート
□会社概要 :株式会社システムインテグレータ
1 |
設立:1995年3月14日 本社:さいたま市南区沼影1-10-1 ラムザタワー7階 社員数:110名(役員8名含む) 1992年日本初のERP「ProActive」を企画・開発した2人が独立 1995年03月 株式会社システムインテグレータ創業開始 2006年08月 MIJS設立 2006年12月 東証マザーズ上場 2008年11月 総合プロジェクト管理システム「OBPM」をリリース 2010年04月 「OBPM」のクラウド提供を開始 |
□講師プロフィール
1 |
株式会社システムインテグレータ(東証マザーズ上場)代表取締役 梅田弘之様 東芝、住商情報システムを経て1995年に株式会社システムインテグレータを設立。 前職で日本初のERP「ProActive」を自ら企画・開 発。独立後は、日本初ECソフト「SI Web Shopping」、開発支援ツール「SI Object Browser」、日本初Web-ERP「GRANDIT」統合型プロジェクト管理システム「OBPM」などを次々に開発。『時間を 奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける』をスローガンにしている。 また、「パッケージから学ぶ4大分野の業務知識」「グラス片手にデータベース設計 会計システム編」など 著書も多数ある。社員にも著作を勧めておられる。 |