内外経済の現状と展望

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異業種交流会「フォーチュン」で三菱UFJリサーチ&コンサルティングの五十嵐さんの講演を聞いた。ちょっと旧聞になったがアップしたい。まずはずっと問題続きだった、ヨーロッパの問題が取り上げられた。

□EUの問題は3つのルートで日本や世界に波及する。

1.EUの景気が悪い⇒EUへの輸出が減る。

2.ユーロが安くなる⇒対ドイツ競争力が落ちる。為替の問題で輸出の対価が減る。

3.EUの銀行が資産圧縮

銀行の信用不安に対処するために欧州の銀行が資産圧縮に走る⇒アジアやその他の日本の輸出先から資金が引き揚げられ景気悪化⇒輸出減

□75円から円高に生かせない

78円台で為替介入をやめたと安住財務担当大臣が表明

□円高の方向性・・なぜ円高ドル安?

これは円高ではなくドル安だ。ドルを持っていたくない人達が仕方なく円を買った。アメリカ経済の日本化(長期低迷期へ)の心配からドルを沢山持った人がドルリスク回避のために円買いに走った。

□インフレターゲット

今では日銀もFRBに見倣ってインフレターゲットを設定した。これは防衛的な意味合いの強いものでアメリカが一方的にインフレターゲットを設定して、日本が何もやらないと更に円高へ流れてしまうからだ。(日銀はターゲットとは言っていない。責任を取らない表現になっている。この体質が日本の失われた20年を生み出した張本人だ。責任を取らない表現法はいかにも日銀的だ。これでは効果も薄いがこれでも以前から見れば前進なのだ:筆者意見)

お金が増える⇒物価が上がる⇒貨幣の価値が下がる⇒借金をする⇒投資をする⇒景気が上がる⇒(16円で1万円札が印刷できる)(軽度のインフレは気持ちも明るくする。こんな心理も読めない日銀には通貨の番人であっても、経済の舵取りは任せられない:筆者意見)

□究極の財政規律正常化

日本はOECD35か国中で国民負担率は下から7位と低い。消費税率10%では税収入は25兆円上がる。5%から10%にしても増収部分が全部社会保障費に充てられてしまえば財政の赤字はへらない。

□ハイパーインフレの危険

2016年に経常収支が赤字になると、消費税を+5%アップしても財政赤字が下がらないのは「歳出に手を着ける気がない」と国際相場に見做されハイパーインフレの危険が増大する。