千代田区富士見で第○次再開発ブーム

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お隣りの競馬新聞「勝ち馬」さんも自社ビルを住友不動産へ売り、これからスクラップに入るところだ。取り壊しは実に煩い。私の住むマンションの近隣では、前も後ろも大掛かりな取り壊しをして生まれ変った。余りの騒音と振動で地震計を置いてもらい、要所要所の写真撮影をしてこのマンションに亀裂が入らないかどうか使用前・使用後でチェックした程だ。

今又この千代田区富士見近辺が再開発ブームに沸いている。この地域は地下鉄が5路線も入り、JR総武線も来ていて、東京駅も10分ほどで行けるので交通の便は極めてよい。地盤も良く「富士見」の名前が示すごとく富士山も見えた(今はビルの陰で見えない)九段上の高台なので水害・津波の心配もない。六本木にも負けない土地柄である。隣の開発に当たる住友不動産の営業に聞いたら勝ち馬さんの跡地には1億円の部屋は作らないとのことだった。広尾とか六本木とかのブランド土地でないと「億ション」は売れないとのことだった。自らブランディングの先頭を切る覚悟はない様子だった。この土地のバリューも碌に知らないようだ。関西人なのかな?

最大の再開発は中野に越した警察病院跡地だ。それに賛同した前田建設や郵便局などが加わり広大な再開発になっている。JR飯田橋駅から徒歩0分の近さだ。前田建設と鹿島建設のジョイントヴェンチャーで、1万6千平米の土地に延べ20万平米の建物を建築中だ。飯場も実にでかい。郵便局は仮庁舎で営業をしている。これが出来るとJR貨物駅跡地のアイガーデン、駅南の野村不動産のプラウドと一緒になって飯田橋地区のブランディングが確立する。地名に「橋」が付いていてはブランディングには不向きだ。橋は低い土地を連想させる。九段や富士見の方が良さそうだ。

桜ヶ丘服飾学院跡地、銀行の独身寮跡地(まだ建っているので跡地ではないが)などの比較的小振りな再開発も一斉に動き出した。神楽坂も近く飲食店も多いのでビジネスマンにとっても良い所だ。競争が激しく飲食料金が安いのも売りだ。

それにしても不可解なのは、こんな時代になってもこの近辺に木造の一軒家が結構あることだ。パリ21区内には一軒屋は許されていないと聴いた。実際に何処へ行っても戸建ての住宅はなかった。ベルサイユやサン・ジェルマン・アン・レーなどの郊外では別だ。お城の様な一軒屋が沢山ある。

こんなに土地が高く、狭い東京で大正時代に建てられた一軒屋が沢山あり、再開発の邪魔をしているのは実におかしい。防災上も問題が多いことは分かっているのだが、リーダーシップに欠ける政治家は何もしない。東京有数の高級住宅地とされる麹町や番町などでも古い古い一軒家がまだまだ沢山残っている。「政治の貧困の象徴」のように思えてならない。