i今になって初めて「もしドラ」を読んだ

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もう随分前からブームになっていた本だが「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読んだ。ドラッカーについては「ネクストソサイエティ」など数冊を既に読んでおり、何で今更の思いと本屋の平場にうず高く積まれた漫画チックな表紙を見ただけでうんざりしていた。「ネクストソサイエティ」はドラッカーの未来学者としての確かな慧眼を印象付けていた。

今回縁あって「ドラッカー読書会」なるものに参加することになった。「チェンジングリーダーの条件」と「もしドラ」が事前学習の必須本になっていた。「もしドラ」のコミックもNHKのパステルカラーの動画でたまに見ていた。

「もしドラ」は結構面白く一気に読み通した。女子高生野球部マネージャーの「みなみ」の真摯な気性とドラッカーの求めるリーダーの条件が重なり、ドラッカーの教訓?と重さねながら進んでいく筋立てで、「程高野球部の改革・カイゼン」が「マネジメント」と程よくマッチされていて、ドラッカーの経営書をまるで野球部のコーチング・ハンドブックの様に観たててしまっている。

出版元ダイアモンド社のサイト

途中でプロセス重視に傾いた幻のマネージャー「夕紀」に対してみなみは、「マネジメント」にある通り矢張り結果重視だと言い張り、程高野球部を東京西部地区代表として甲子園まで持って行くことに成功する。

プロセス重視か結果重視かは何処の組織でも悩む大きな問題だ。結果重視だとプロセスをカイゼンして良い所まで来ていても、今一歩のところで結果が出ないといい加減なやり方でたまたま良い結果を出した同僚などに栄誉やボーナスを持って行かれることになったりする。結果重視だと忍耐の要るプロセスのカイゼンが疎かになり、短期志向になり長続きする成果は上がらなくなってしまう。

狩猟民族のアメリカは結果重視の成果主義だが、農耕民族である日本はプロセス重視で努力を評価するところが残っている。グローバル化で日本企業も訳もわからず成果主義に突き進んでいるようだ。ドラッカーの言うところの「人間が資産だ」と矛盾するように思えるし、日本企業のトップには真摯さに欠ける人も多いように思える。

日本企業ではトップ選抜の過程が問題なのだ。選抜の透明性欠如と評価基準の不透明性が問題だ。数年前GEのウェルチ前会長の『我が経営』があんなに愛読されたのも後継者選びの様子が克明に記されていて、日本人の興味をそそったからに違いない。日本の後継者選びは密室で行われ、先輩経営者にゴマをすったものや院政を敷くのに適した「人材」が選ばれる傾向が未だに残っている。カルロスゴーンのように年棒20億円以上だしても、100億円稼げるプロの経営者を世界中から募るべき時なのだ。