夏休みでパリ10泊旅行6(ラ・デファンス、コンシェルジェリー、ノートルダム、モントルグイユ)

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今日は右岸から左岸へホテルチェンジの日だ。チェックアウトまでの時間を利用してラ・デファンスへ行くことにした。メトロで30分弱で着いた。ラ・デファンスではもう既に壊れてしまったところや修理中のところが目に付いた。人影はまばらだった。店も休んでいるところが多い。グラン・アルシェは大きな大きなゴミだ。もっと感銘を受けるかと思ったがエトワールの凱旋門と違いただ大きいだけで設計も施工も大雑把で建築的にも評価出来ない。ガラスのオブジェは素晴らしかったが落書きだらけでフランスの倫理的な退廃を印象付けるデモンシトレーションになってしまっている。

各種のオブジェ(下らない物が多い。好みは別にして価値観を越えて訴えかけることが出来るのが芸術だと思うがここのオブジェは人間の顔のオブジェ以外はゴミだ。)芸術を理解する能力を失った官僚共がペテン師のえせ芸術家に騙されて購入したとしか思えない。ベルサイユにも変な鉄骨のオブジェが幾つも展示されていた。フランスは芸術の国ではなく「えせ芸術ペテン師の国」になってしまったようだ。

近くにあったショッピングモールで朝食(ドーム型の屋根が水漏れを起こし日本製の東京ドームなどで実績のある浸透膜に切り替えていた。中は結構良く出来ていたが店が結構少ない。)

親指のオブジェなどの写真を写して食品スーパーでサンドウィッチを買って広場で食べた。これが今日の朝飯だ。結構美味しかったが一寸侘しかった。メトロを乗り継いでオペラ座近くにあるはずのJALオフィスを探したが見付からなかった。何処かへ越してしまったのかも知れない。後で今日は土曜日だったことに気が付いた。ラ・デファンスは全て休みだった訳だ。休日出勤するフランス人などは居ない。(JALオフィスはロンドンへ統合。パリへ電話すればロンドンへ転送。パリ便について何でも聞ける。)

ラ・デファンスの主だった建築物(右端の円形の建物は合格だが・・・)

フランスの建築技術は相当劣化していると思った。凱旋門とグラン・アルシェを比較すれば明らかだし、ポンピドーセンターやフォーラム・デ・アールの痛みようは余りにも酷い。未だせいぜい50年くらいしか経っていない。歴史的な建造物が何百年持っていることを思うとフランスは明らかに建築技術で衰退している。過去の栄光のハロー効果で飯を食っている。

急いでホテルへ帰り預けておいた荷物をピックアップして、タクシーでエッフェル塔下のホテルメルキュールへ行った。前にポルト・ド・ヴェルサイユの同系列ホテルへ泊りよかったのでここにした。4つ星を自称していたが、これは3流のホテルだった。ロビーには団体の客が溢れ、その荷物が山と積まれていた。ロビーの椅子はビニールレザー張りだった。

部屋は入らなくとも想像がついた。狭い部屋で内壁なのにスタッコ仕上げでまるで外壁のようだった。ミニバーの収まった家具は下の方の化粧板が剥がれベニヤ板がむき出しだった。廊下の絨毯も変な趣味の悪い抽象模様で明るく落ち着かない妙な感じだ。

TVのスイッチを入れても付かないのでフロントとサービス係に連絡したが「直ぐ係員を出します」と答えた割には中々やって来ないので動きが取れなかった。40分位したら係りの人が来たがもう何とか直っていた。仕方が無いので1ユーロチップを出した。大損害だ。

もう一つ、ツインの2人ユースなのにバスローブとスリッパが一人前しかない。これもフロントへ3回電話をし、1回は直接相対でフロントマンにクレームを言ったが「今直ぐやります」との元気の良い返事だったが、帰って来てみたら何もなかった。結局5泊したのにバスローブとスリッパが一人前のままだった。根負けした。コーヒーメーカーも壊れていたが言わなかった。

今日・明日でミュージアムチケットをこなして置かないと月曜日は休みの美術館が多い。ごたごたしたので3時半ごろホテルを出てノートルダム大聖堂へ行くことにした。メトロ市庁舎駅で降りて歩いた。ノートルダムには2km位の長蛇の列が出来ていた。時間をずらすためにコンシェルジェリーへ先に行くことにした。反対側へ行ってしまったので最高裁のドデカイ建物をほぼ一周することになってしまった。マリーアントワネットがギロチンに掛かる前の数日を過ごしたところだ。収容された部屋が再現されていた。限りなく暗い部屋で監視が二人付いていた。

コンシェルジェリー(フランスの歴史の闇の部分を展示している。ほんの一部だが・・・)

玉村豊男氏や木村尚三郎先生によればフランス革命の真のターゲットは王政ではなく、キリスト教だったそうだ。キリスト教は民衆の中へ深く入り込んでおり直接のターゲットに出来なかったのでダミーとして王侯・貴族を血祭りに上げたそうだ。フランス革命は1789年7月14日に完成したわけではない。100年も掛かり、今でもフランスは200家族に支配されていると言われている。貴族も健在だ。CDG空港の地主はたった6人だったそうだ。

再びノートルダムへ行った。未だ1km位の列があったが諦めて並ぶことにした。40分くらいで中に入れた。昨日のサクレ・クール寺院、モンマルトル教会、そしてこのノートルダム大聖堂など皆金に糸目をつけずに作ったものだ。余りにも凄すぎる。ランスにも同じ様な凄い大聖堂がある。キリスト教の贅沢は眼に余るものだ。当時の庶民の暮らしが極貧しかったことを思うとキリスト教こそが民衆の敵だったことは頷ける。ノートルダム大聖堂ではミサが始まり、坊主がなにやら唱えて、聖歌隊が歌い始めた。教会の音響効果は素晴らしい。10分ほど聴いてノートルダムを後にした。

モントルグイユ通り(レアルから近いグルメ通り)

夕食はエスカルゴの専門店「レスカルゴ・モントルグイユ」で食べることにしていた。レ・アールから歩いて直ぐのはずだが方向がわからず何人かに聞いてモントルグイユ通にやっとたどり着いた。だがお店が見付からなかった。通りの終りまで行って引き返してきたら反対側にカタツムリの大きな看板が見えていた。行きには通の左側しか見ていなかったのだ。

年季の入った立派な店だった。一人エスカルゴ6個とイベリコ豚、カナールのテリーヌ(フォアグラ)、ガスパッチョを注文した。エスカルゴとガスパッチョはまあまあだったが、イベリコ豚、カナールのテリーヌは美味しかった。デザートのイチゴのムースも美味しかった。エスカルゴの専門店とはいえ他の料理で点数を稼いでいるのは立派だ。エスカルゴだけでは飽きられる。

レ・アールからメトロでホテルへ帰った。エッフェル塔がライトアップされていてとても綺麗だった。すぐ近くなので圧倒的な迫力だ。このホテルの唯一の魅力だ。