長男に孫が生まれて九州へ3(鉄輪温泉~中津)

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鉄輪温泉の「湯けむりの里 東屋」を出発してカーナビに従って国東半島を廻ることにした。た。カーナビはJHとタイアップしているので何が何でも高速へ載せてしまう。今回もすぐさま別府ICから乗って安心院ICまで行き、地方道をかなり走ってやっと熊野磨崖仏の駐車場まで着いた。数台しか停まっていなかった。料金所で杖を渡された。実際に登ってみると聴きしに勝る大変な所だった。この階段では行きかう人が皆「こんにちは」と声を掛け合っていた。大変な難行を共にする同志的な心情に駆られていたのかも知れない。

途中までは土に土留めを兼ねた階段だったが、石段に変り、更に丸石を組み合わせて積み込んだ大変な階段になった。この部分が一番長かった。鬼が一夜にして作った階段だと伝承されているそうだが実際に作らされた民衆はさぞ大変だったことだろう。犠牲者も出たはずだ。PRのために鬼が一夜で作ったことにされてしまえば、実際に作った民衆は永久に報われない。

磨崖仏は大きく2体あり、大日如来像と不動明王像だ。大日如来は一寸厳しいお顔をされているが不動明王はおおらかでユーモラスと言っても良いお顔をされている。とても素朴でおおらかで苦労して登ってきた甲斐があったというべきだろう。昭和39年に重要文化財に指定されたそうだが造立は藤原末期と推定されるに留まっている。重要文化財に指定の時などにもっと正確な時代考証をすべきだったのではないかと思った。

暫く田舎道を凄いスピードで走って両子寺(ふたごじ)へ着いた。この寺は子供が授かるお寺として「ブランド化に成功」しており参拝者は結構多かった。熊野磨崖仏の階段で足が棒になっていたので、入口の切符売り場のばあさんに聞いたら階段が65段あるそうだった。止めようかと思ったが、妻が折角来たので入りたいというので3百円ずつ払って入った。階段は結構あったが分散していたので気にならなかった。お寺は結構収入は多いと見えて、品のない新しい石の彫刻やその他もろもろの俗っぽい新しいものが、古いお寺と調和をみだしてそこここに置いてあった。

それを見ないことにすれば山門も参道も庭も階段も境内の景色もお堂も苔むして素晴らしいものだった。鐘楼があったので鐘を二つ鳴らした。余韻が素晴らしかった。後で見たら1回100円と書いてあった。それでも爽快さを思えば結構安い。

中々風情のある山門(何処の名刹へ来たかと見まごうほどだ)

お堂(趣味的には問題の部分も有るが、屋根の勾配が実に美しい。)

山寺なので階段が多い。どの階段も風情があり登りのきつさを除けば楽しい。

境内の幽玄な景色(俗人で事業家の当主が続々と環境破壊しているので何時までこの風景が保たれるかは不明)

枯山水を基調としたけちな庭があった。国文学者金田一京助春彦親子の句碑が何故か有った。

時間的に昼食を取れなくなる恐れが出てきたので最寄の海辺の黒津崎へ行き、道の駅「くにさき」にある太刀魚料理専門店「銀たちの郷」で昼食を取った。地元の人たちで一杯だった。太刀魚丼定食が900円で妻はそれをオーダーした。

私は欲張って1,600円のお造り定食を頼んだ。太刀魚の刺身以外はもう直ぐ腐りそうな魚が並んでおり実にシャビーだった。隣りの漁港ではマグロが取れると聞いていたがお互いにやり取りせずに東京経由で持って来た様な感じだった。地方が弱る訳だ。自業自得の部分が多いと感じた。隣の漁協へ言ってマグロを分けて下さいと頭を下げ、その代わり太刀魚を上げますと言えばWIN-WINの関係が直ぐにできるのだ。お馬鹿な連中だと思った。JFが多分問題なのだろうと思われた。東京電力同様に半官半民の団体が一番始末悪い。

豊後水道から周防灘沿いの国道213号線を走った。道の駅「くにみ」で一寸休んだ。眼前の海に突き出した堤防兼遊歩道にはビックリした。必要もないのに石で固めたお洒落な歩道が海まで延々1km以上も伸びており、その先には何もない。「こんなに税金を無駄遣いしましたよ、皆さん」と勝ち誇っているように思えた。これも原発同様に自民党政治の成果だ!

潮干狩りをしている海岸(遠浅で黒い砂だ)

途中豊後高田で昭和の町を写真に収める予定だったが、案内が悪く行き過ぎてしまったので宇佐神宮へ直接行くことになった。

宇佐神宮は全国に4万社ある八幡社の総本宮で、独特な造形の本殿は国宝に指定されている。推定樹齢800年の楠は大きく立派で風格に満ちている。朱塗りの本殿やその他の建物は実に印象的だ。上宮と下宮に分かれており両方にお参りすることになっている。上宮と下宮を繋ぐ橋とか下宮にはメンテナンスが行き届かず錆びたり色あせたり雨漏りがしたりしている様子だった。

必要以上の道路に使うお金があっても神社(広瀬神社を含めて)をメンテナンスするお金が出てこない国では精神の荒廃は避けがたいように思う。自民党は綺麗ごとを言い、国体の護持に気を使っている素振りをしていたが、実際には土建屋の集まりで、宮大工には金を回さなかったのだ。

参道から2の鳥居まで(長く立派な参道だ)

鳥居から国宝の本宮、御神木まで(神の存在を肌で感じられる清涼で清清しい空間だ)

宇佐神宮のご神域だ。ここでは「2礼4拍手1礼」だ。

「るるぶ」「まっぷる」で探したが、適当な温泉つきの宿は見つからずに中津に着いてしまった。車の前前方上を見たら大きなビルに「ルート・イン」の看板(実はネオンサイン)が見えたので、ここへ泊ることにした。10階建ての出来たばかりのビジネスホテルで最上階のツインルームに泊った。チェックイン後、多少暗かったが中津城と福沢諭吉記念館を見に出かけた。暗かったが車のヘッドライトで照らしてみた。

その後、駅前の中華料理屋へ入った。店は凄く空いていた。中華料理には当りはずれが少ないのでここにしたがそのジンクスは見事に破られた。美味くはないのではなく不味いのだ。外食の少ない地域では食文化は育たないことが分かった。ホテルの人工ラドン温泉へ入って寝た。温泉三昧の後では一寸物足りなさを感じた。やはり予め宿を予約して出かけた方が良いことがわかった。