長男に孫が生まれて九州へ2(竹田~鉄輪温泉)

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前日宿泊した黒川温泉から1時間ほどと近い竹田へまず行くことになった。竹田は滝廉太郎が住んだところとして有名だ。その旧居を覗いて見ると実際には2年ほどしか住んでいなかった仮住まいといっても過言ではない所だった。竹田のお城である岡城などから受けた影響などを勘案すれば彼の出生地といっても過言ではないのだろう。「荒城の月」の原曲はこの城をイメージして滝廉太郎が作曲したものだ。土井晩翠が仙台の城をイメージして作った詩と上手くコラボして超有名な楽曲になった。

滝廉太郎旧居へ行く前に妻の友人がこの近辺のお寺に葬られているとのことだったので、お参りすることになった。2軒目のお寺であることは分かったが、墓のありかは中々見つからずに当主の孫の別当が案内してくれた。それでも容易には見つからなかった。急な坂を上ったり降りたりしながらやっとのことでたどり着いた。山を越えた無縁仏が立ち並んでいる一画にあった。神社風の社もあり神仏混交であることが明白な古い寺院だった。

滝廉太郎旧居は実に質素な佇まいで、内務省の役人をしていた父と一緒に各地を転々とした正に官舎の一つといった感じだった。肺病で23歳で亡くなったそうだが最年少で今の東京芸術大学へ入学し、最優秀で卒業した。今の時代であればショパンコンクール等へ出場して名声を博した人なのだろうと思った。彼の生まれ育った時代は余りにも残酷な時代だった。

数百メートルしかない武家屋敷跡(如何に武家が徹底的に滅んだかが実感として良く分かる歴史的遺構だ。お城の規模から見ればこの数十倍の屋敷が軒を連ねていたはずだ。)

竹田のわずかばかりの武家屋敷を見て、大河ドラマ「坂の上の雲」でも有名になった軍神広瀬中佐が祭られた広瀬神社へ行った。海軍にちなんでカッター船などが展示されていた。広瀬中佐は中々いい男で留学先のロシアでももてたのはうなずけた。記念館がメンテナンス不足で階段には穴が開き、展示室も薄汚れていたのは軍神に対して失礼なのではと思った。日本を超大国ロシアから救った男に対する地元民の誇りと尊敬が失われている。ここでも「日本の劣化」を見たような気がした。今の竹田は2流以下の土地柄だ。

岡城跡地公園(実に素晴らしいお城で、城壁は上から見ると角度が余りにも急でオーバーハングしているように見える。本丸までの距離が長く、要所要所に関があり難攻不落の城と思われるがこんな城でも時として落城してしまうのは恐ろしいことだ。)丁度桜が満開で多くの市民が花見に繰り出していた。幸せな時代を満喫しているように思えた。滝廉太郎の肖像もお城の本丸近くにあった。藩士でもなかったのに大変な優遇だ。

岡城跡地公園は桜桜桜・滝廉太郎と忍び寄る石垣崩壊の危機

 

臼杵の国宝石仏を見に行った。途中で聞いたことのない磨崖仏の看板があったので、見ていくことにした。かなり走ってやっとたどり着いた。磨崖仏というよりがけに書いた仏画のようなお仏さんで、隣りの岩を刳り抜いてお寺が建っていた。難点は遠くからしか見えないことだった。

道端の野辺の花が綺麗だったので帰り道で写した。

こんなところへも高速道路?北海道や九州では交通量も少ないのにやたら高速道路を作りたがる。東京から分捕ってきた金で作るからだ。自分の身銭を切るならもっと優先度をつけるはずだ。この部分だけ出来ており、前後に何もないので高速道路の一部であることに気が付かなかった。

国宝臼杵石仏は臼杵市深田の山肌に彫られた磨崖仏群で平安時代から鎌倉時代の作と推定されている。59体が国宝に指定されている。ここの仏像は本格的で実に立派な造形美を醸し出している。国宝になるのもうなずける。参道の杉木立も整っていて美しかった。何時作られたのか推定されているだけとは一寸お粗末な気がした。記録をとっておくべきだ。国宝なので流麗な社も立てられ、階段なども整備されている。

周りにも花一杯をやっている。

この後又高速道路経由で別府温泉のお隣さんの鉄輪(かんなわ)温泉の「湯けむりの宿東屋」に泊まった。今回の旅行では毎日が何処まで行き着けるか分からないので予め予約を取っていなかった。宿泊の当日電話して鉄輪温泉の東屋の別館に泊ることになった。

別館は一棟立てで1階が温泉、2階が20畳以上の広いリビングと8畳位の和室で生ビールのサーバーが有り飲み放題だった。ただし食事は本館の個室で取る仕組みだった。料理は全て同一メニューで地元の食材を使った料理で安かった。若い子供連れが多かった。リピーターが多い感じだ。旅館業の将来形を見た気がした。殆ど全部が九州ナンバーの車
だった。東京方面からの観光客を期待しないで地産地消をしている観光業が価格もリーズナブルで良いみたいだ。

「湯けむりの宿東屋」の部屋、質は高くないが広々としたところが売りだ。この系列の「絶景の宿さくら亭」に泊りたかったが満員だった。多分この部屋は急なキャンセルがあったのではと思う。広い部屋の割りに、安く泊れたので一寸得をした気分になった。