冬の上海へ5(帰国)

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今日昼の便で日本へ帰ることにした。昨日JALオフィスでサブローディングしているので予定の便で帰れるはずだ。

上海のスモッグも酷かった。北京でも1週間滞在して晴れに日は2日しかなかったがここでも結構酷い。太陽は確かに出ているがスモッグ曇りだ。視界が悪く飛行機は飛ぶのかなと心配したほどだ。

又8時半だが早起きした。タクシーでマグレブレール(磁気浮上)の上海駅まで行った。結構遠く30分も掛かり、料金も56RMBと今回の上海で一番高いタクシー料金だった。ホテルのドアボーイも行き先をリニアモーターカーの駅と確認したのに、タクシーの運転手は途中3回も空港へ直接行かないかと誘いをかけて来た。煩くしつこいのが中国流だ。比較的新しいVWで正直そうな運転手だったので乗ったのだが、金が絡むと実にしつこい。その都度「リニアモーターカーの駅」だとカードを示してダメ押しをする必要があった。

中国人は何時でも何処でも駆け引きをする。街中でも車同士、車と人、人と人、全て駆け引きで関係が決まる。遠慮していたら道も横断できない。駆け引きに慣れない日本人にはとても疲れる世界だ。一旦優劣が決まるとその場で駆け引きは忘れて日本みたいに後々までしつこく追っかけたりはしない。潔い。それよりも次の駆け引きに集中したほうが良いと達観しているのは素晴らしいことだ。なんと言っても中国式が世界標準(グローバル・スタンダード)なのだから仕方が無い。

リニアモーターカーは予想よりも空いていた。空港では客引きをしていたので結構大変なのだとは思っていたが予想よりも遥かにがらがらだった。料金は公共交通カードを利用したので、40RMBと結構安い。しかし上海都心からリニアモーターカーの駅まではタクシーで60RMBも掛かるので高いものに付く。

延伸の話も有るようだが電磁波の悪影響を心配した沿線の住民が猛反対して実現の見通しはないようだ。この国でそれだけ反対するからには、何か問題が具体的に起きているからなのだろう。スタート後見る見るスピードを上げて直ぐに3O0KM/Hになり、最速では、432KM/Hにまでなったがそれは瞬間最速で、ほとんどは200KM台だった。結構揺れる。所詮は観光列車だ。外観はドイツのインターシティみたいで日本のリニアモーターカーよりもずっと普通の顔をしている。

リニアモーターカーの技術をめぐってドイツが中国に技術を盗まれたと怒っていると言う話を聴いた。これが本当とすればドイツも馬鹿な国といえる。ドイツはいち早くVWの古い型で上海進出を果たし中国を熟知しているはずなのだ。VWでは古い年式のサンタナしかやっていなかったのでこのような技術流出の問題が起こらなかったのかも知れない。それでも中国を甘く見ていたとそしられても仕方が無い。そうだとしてもドイツの対中国の対応は日本よりはまだましだ。なぜならそれでも公式に非難しているからだ。

朝飯の時に見た中国の英文紙「China Daily」一面に温家宝首相がパキスタンの洪水対策に大量の資金を供給する記事が載っていた。インドとは経済交流で大型の商談を締結したばかりで、対立国のパキスタンへ援助を申し立て、アフガン対策でアメリカが支援するパキスタンへの大型の援助とは外交上の遠慮会釈のない権謀術数の行使だ。外交上の見事な手綱捌きだ。

日本の弱腰外交に期待しても無理なのかな?帰りは2時間一寸で成田へ帰り着いた。「一衣帯水」というが本当に近い。遣唐使や遣隋使の昔を思うと何故こんなに日中で揉めなければいけないのか多いに疑問だ。中国優位だと彼らは安心するのではないか。今がその転換期で日本が降りればキット仲良くなれるはずだがそれでは日本にとって意味がない。一時、媚中派のChina Schoolの外交官が流行ったが、今でも自民党には媚中派の政治屋が多い。「対等に仲良くできる王道(民主道?)」を目指すべきだ。