久しぶりにソウルへ3

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大分疲れたので今日は盛り沢山の日程はやめて、一寸だけゆったり過ごすことにした。漢江クルーズともう一つの日程で、むごい展示やみすぼらしい日本のもの展示で日本人に悪名高い博物館を見ることにしている。

地下鉄を乗り継いで、汝矣島(ヨイド)まで行き、そこで乗船する。時間を見ていかなかったので2時間以上の待ちになってしまった。片道はやめて往復のクルーズにした。時間があったので近くのトランプタワーみたいな金色の建物「63」へ登った。60階建てなのに何故かビルの名前は「63」だ。あげ底ならぬあげ天井はいかにも韓国らしい。

「63」からの展望(両岸及び中洲の都市計画が見事だ。多摩川を渡った川崎市と言った風情のところだが、川崎にはこんなに見事な都市開発の事例はない。政治のクオリティーの差か?)

汝矣島は中洲だがここは良く利用されている。公園の整備やクルーズ船の発着場や水上レストラン、ジョギングコースやサイクリングロードなど多摩川や隅田川の岸辺に比して実に熱心に開発されている感じだ。東京は自然資源の活用で出遅れている。岸辺には多年草とおぼしき綺麗な花が満開だ。

今現在開発中の案件も沢山あった。何故か北京オリンピックのメイン会場となった「鳥の巣」みたいなドーム状の建物も建築中だった。お得意のコピーなのか、はたまた2千年間の宗主国だった中国に対する憧れの象徴なのか判断に迷った。何にしても川を単なる上流から下流へ水を流す水路として見るのではなく、観光や癒しの空間として捉えていることは素晴らしいことだ。

クルーズの折り返し地点で橋から一斉に噴水が出て、我々乗客を楽しませてくれた。余り楽しみのないクルーズなので色々工夫しているのだろうと思った。キャビンではマジックショーもやっていた。噴水には照明もあり夜のクルーズを意識したものだ。

地下鉄でソウルの中心(建築中の市庁舎近辺)へ戻って、昼食を取ることにした。必死に探したがこれと言った店が無く、困ってしまい、ウェスティンチョースンホテルへ入りそこのイタリアンを食べた。非常に高かったが「韓国風のなんちゃってイタリアン」ではなく本格的なイタリアンで美味しかった。ロッテの前でタクシーを捕まえてホテルへ帰った。

たまたま徳寿宮の衛兵交代の儀式に出会った。台北でも衛兵交代を見たが、台湾では近代装備の衛兵交代だった。古式の衛兵は実に美しかった。

夕食を食べにホテルの送迎バスで明洞へ出かけた。最後の夜なので何か本格的な韓国料理を食べようと言うことで妻が日本で検索した明洞の数軒の韓国料理店をプリントアウトして持って来ていた。実際に行ってみると、どの店もシャビーなつくりで入りたくなかった。日本人有名人の色紙や志村けんの写真などが出ていたが薄汚い感じが先に立った。

仕方が無いのでまたイタリアンの店を探したら、こじゃれた店があったので入った。アンテパストの3品を頼んだが、どれも量ばかり多くてとてもアンティパスト(前菜)と言えるものではなく、主菜級だった。味もイタリアンではなく韓国風のこれこそ「なんちゃってイタリアン」だった。韓国産のビールも不味かった。韓国ではホテル以外ではイタリアンを食べてはだめなことを悟った。

最後の夜だったので韓国の印象を酷く悪くした。妻が口直しと言ってコンビニでキムチを買って帰り、ホテルで飲んだ。一寸惨めな「グランド・フィナーレ」になった。

4日目にはホテルでタクシーを拾い金浦空港まで急いだ。漢江まで出ると片側4車線の道路が空港まで延びていて信号は一つもなかった。

クアラルンプールへ行った時は、東京は都市の格で負けていると思ったが、ソウルにも負けている部分が多いことが分かった。東京が勝っているのはレストランや商品のデザインなど民間が担う部分だけで、官が担う都市インフラ部分は全て負けている。民を邪魔するだけの官など無い方が良いのかも知れない。

感想

□イミテーション大国「韓国」

韓国に来てみて一番不愉快に思えたのは、余りにも不法コピーが多いことだ。車もよく見ると高級車はベンツのデッドコピーだったり、リンカーンのコピーだったりしている。中級車は殆ど日本車のコピーだ。ベンツのコピーはマークを取り替えただけと言った徹底的なものだ。ドイツが黙っているのは不思議だ。

一昔前には、日本の技術者が土曜日・日曜日に韓国へ行き、ただ同然の値段でノウハウを教えてきてしまうことが問題になった。10万円とキーセン抱き合わせで、億とするノウハウを教えてしまうのだ。韓国はこれで半導体や薄型テレビ・家電などの製造王国を築いた。

繁華街の明洞でも白昼堂々とルイ・ビトン、エルメスやシャネルのコピー商品が並べられ売られている。コピーに対する意識の程度は零細企業でも財閥企業でも同じようだ。多分国家レベルでも同じ感じなのだろうと思えた。こんな国ではコンテンツ産業は育たない。時間とお金を掛けて新しいコンテンツを創作するよりも、既にある世界中の一流デザイナーが苦労して生み出したデザインをコピーした方が確実に売れるし、安く出来るからだ。

東大門にデザインプラザを作ってデザイン大国を目指しているようだ。箱物を作ればコンテンツであるデザインが育つと思ったら大間違いだ。現代の総帥も盛んにデザインの重要性を説いていると仄聞しているが、こんなにコピーばかりしていては、デザインを語る資格はない。デザインで見れば韓国は3流国だ。「漢江に奇跡はなく砂上の楼閣があったのみ」にも思えた。一寸きつ過ぎるかな?