エジプト文明から見た地球環境

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学士会館でサイバー大学学長吉村作治さんの講演「エジプト文明から見た地球環境」を聴いた。吉村さんは40年以上にわたりエジプトで発掘調査を続けてきている考古学の薫陶だ。エジプトでは発見者と国がイーブンで取ることになっているそうだ。吉村作治さんは全部をエジプトにあげてきている。

このルール以前は欧米の調査隊は全部根こそぎ持っていってしまったようだ。欧米の著名な美術館はエジプトからの略奪品で溢れている。コンコルド広場のオベリスクも有名(notrius)だ。

先生はお話し上手だ。面白い。実に面白い。逆転の発想が面白くしているようだ。

盗掘

盗掘にあっていない墓は1万分の一位だそうだ。4千年、5千年前の墓だ。先ずは墓を作った人達が2,3年以内に貴重品は全部取るそうだ。その後に残ったものも国内、海外からの勢力が奪い尽くして行き、4千年もすれば何もなくなる。

先生は2005年1月17日未盗掘の墓を発見した。これだけでも大変なことなのに、2007年には、未盗掘の墓を2つも発見した。一つは夫婦の墓だ。これも極めて珍しいそうだ。「朗唱神官(祝詞を上げる人)」に墓だ。女性の親が偉い人だとこの様な可能性が高まるそうだ。

夫婦の墓はルーブルに1つとNYメトロポリタン美術館に2つある。2008年には親子の未盗掘の墓を発見した。

古代エジプトの環境問題

環境問題の中心課題は人口問題だ。江戸時代は3千万人が飯を食えた。人口が半減すれば今問題になっている自給率40%はたちまち80%(計算上)になる。「人口減少」は問題によってはかえってやり易くなる。悲観論だけでは駄目だ。外国へ物を売って、食料を輸入する方式が、自給率を下げているのだ。経済学者は人口減少でも立ち行く、経済モデルを研究・提案していくべきだ。

石油の生炊き

これが一番悪い。自動車は石油の生炊きを減らそうとしている。発電はまだまだやることが多い。生炊きが結構多い。繰り返し使えるものを使うのだ。使い捨て(one way)が一番悪い。エジプトでは循環型の経済をいち早く築いていた。

石のリサイクル

採石→ピラミッド→家の素材→粉にして壁に塗る、石の接着剤に使う。

ナイル川の定期的な氾濫

これによって上流の肥沃な土壌が運ばれてくる。家は農業の出来ない高いところへ建てる。護岸等を作って洪水を防ぐと土地が痩せてくる。洪水で被害に合った人たちにお金を払っていた。これがモラルハザードをもたらし働かなくなった。そこで働いた分だけお金を払うことにしてピラミッドを造った。「瞬時の利得は永遠の損失」

石が不足して土のピラミッドを作ったりした。これによって土地が痩せてしまった。農民はピラミッドの土を持って帰った。ピラミッドの代わりに、運河を作ったり、神殿を作ったりした。運河は一部の人が恩恵を受けるので評判が悪かった。神殿ではこれを作ればそこへ神様が降りてくると信じていた。

リユースが先

アメリカ流の商業主義に毒されて、one way経済になった。循環型の経済の第一歩はRe-useを行うことだ。2回使えばコストは半分になる。