世界経営者会議で「日本企業の生き残る道」提言

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古い新聞を整理していたら、赤くまるで囲んだ記事が目に付いた。その時日経を読んで、凄く気に入り後で何かに引用しようと思って、囲んでおいた記事だ。旧聞で申し訳ないが。

第11回日経フォーラム「世界経営者会議」で2009年10月27日に講演した内容を要約したものだ。今の日本で、企業が取るべき選択肢を、的確に言い当てた、簡にして潔な名言だ。武田薬品工業社長の長谷川閑史氏の発言だ。記者の纏め力に負うところも多いのかもしれないが、そのまま記述すれば以下の通りだ。ただし、気に入った部分のみをピックアップしたものだ。

1.日本がこれから再び世界で存在感を示すには経済力を復活させるしかないが、国内市場は少子長寿化などで停滞状態にあり、量的な拡大を期待することは難しい。国内では質的な成長に特化し、量的な成長は海外に求めることを提案したい。

2.国内でのシェア争いが企業を鍛えるという面は確かにあるが、そのために費やす努力を海外の成長市場の開拓に使ったほうが得策だ。日本の将来のため、海外から利益を持ってくるという意識を企業は持つ必要がある。

3.今悩んでいることの一つが、海外子会社の優秀な人材に日本の本社で働いてもらう方策だ。グローバル化が進む中で外国から立ち遅れないためには、海外の人材を日本にうけいれる体制作りが大切だ。

パナソニックの海外ミドル層開拓マーケティング、サントリーとキリンの経営統合に向けた取り組み、ユニクロその他での海外人財の教育と任用などが始まったばかりだ。自分のお気に入りを代々後継者に指名してきた日本の大企業では、トップの人材がどんどん小粒化して来てしまい、トップが世界の動きについていけなくなっている。これだけ変化が早くてはボトルアップでは対応できない。

武田薬品工業は前任のオーナー経営者が一族支配を投げ打って、力のある人を任用したために、経営が上手く機能しているように思われる。大阪系の企業に、グローバル対応が上手く行っている企業が多いのは偶然ではない。東京の大企業は世界へのアンテナが低く、経営のダイナミズムを失い、一周遅れのラウンドを廻っている。上に媚びる人間ではなく、本当に実力のある人材を選別するシステムを導入し、トップにすえる勇気がいる。