唐津一著「中国は日本を追い抜けない」を読んだ。ブックオフで買ったので2004年発行で内容も若干古い。例によって、唐津さんの基調は楽観的だ。日本の製造業を信じている様は嬉しくもある。日本人は謙虚さと好奇心を併せ持ちもの作りには最適な民族だそうだ。謙虚は真面目で品質と改良を生み出し、好奇心は新しい製品や着想を生み出し、普及させて行く上で必須な性質だ。騎馬民族や狩猟民族には商業的な成功の方が性に合っており、こつこつと地味にものを作るのは不得意だ。しかし、教育その他におけるわが国のファンダメンタルスが疲弊・弱体化している様を目の当たりにすれば、そんなに楽観的ではいられない。
日本は間もなくGDPで中国に抜かれ、世界2位から3位に脱落する。勿論一人当たりGDPは別だが、それも今や世界一どころではない。
中国のしぶとさやレアメタルの輸出を制限して高度技術と交換でなければ渡さないやり方、輸入品に対してソフト開示を求める(外国企業の大反対で一時休止)なりふり構わないグリードさは氏の理解を超えているのではないか。
又中国の中での競争の激しさや中国人の向上心の強列さなど、「人の問題」を理解しないといけない。中国人が築いた全世界に張りめぐらされた「華人ネットワーク」も侮れない。日本の「商社」に匹敵又は凌駕する。
GDPでもそうだが、量の拡大は遅れて質の充実を伴って来るものである。こんな本を読んで安心している暇はない。日本の力をいかにして高めるかを新政権と一緒に、今や真剣に考える時なのだ。