森林総研の方から木と環境についての話

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今回の異業種交流会フォーチュンで、森林総研の方から木と環境についての話を聴いた。森林と環境の問題については、いかに誤った常識が日本中に氾濫しているかが身に染みて分かった。マスコミにも大きな責任がありそうだ。木材が如何に環境に優しく、カーボンニュートラルで優れているかが今回のテーマだ。

日本は世界第2位の森林大国だが、同時に世界第2位の木材輸入大国でもある。大変矛盾した話だが本当だ。日本の森は急峻なこともあり、木材の伐採・搬出に適した林道などが無く又人件費が高いので輸入したほうは安いからだ。日本の森林には年間木材需要の45年分の蓄積が眠っている。しかも木材輸出国にも資源ナショナリズムが起こりつつあり、何時までも輸入に頼り続けられるかどうかは不透明だ。

然も、伐採をしないことで日本の森は死んでしまいそうになっている。木材が炭素同化作用を盛んに行いCO2とH2Oから酸素を作り出す能力は一定の樹齢まででそれからは大幅に落ちてしまうそうだ。森は一定の周期でアップデートする必要がある。密に植えられた森は間伐も行う必要がある。間伐を行う林業従事者の高齢化と木材搬出の道路未整備や間伐材の商業的な利用の道が開拓されていないために、日本の林業は産業として成立していない。昔は山林大地主が大金持ちだったが今では貧乏人だ。林業が赤字だからだ。ここでもマスタープランのない農水行政の貧困が目に余る。植林事業は「100年の計」だ。単年度予算主義にはなじまない。

□光合成の利用

コンクリートの家が数十年しかもたないのに比べ、木材で作った建物は千年持つそうだ。木材には強度もある。未だに合成では木材に匹敵するものを、安くエネルギー消費を抑えて作ることは出来ない。太陽と水とCO2さえあれば、無限に光合成で木材を作ることが出来る。

□人間と炭素

人間の体重の18%が炭素で50kgの人であれば、9kgが炭素だ。炭素は原子番号が12で、12gで1アボガドロ数個ある。アボガドロ数とは約6.02×10の23乗つまり、602,000,000,000,000,000,000,000個 9kgは12gの750倍なので、人の体内には750×602,000,000,000,000,000,000,000個の炭素原子が存在する。

火葬されたりしてこれが地球の大気圏へ平均して拡散したとすると1リットルの空気中に8万8千個浮遊しているそうだ。「千の風になって」の歌詞や「ご先祖様が見守ってくれている」は本当なのだ。勿論全部が浮遊している訳ではなく、一部は光合成で木材になったり、草になったりしているそうだが。先端科学のエッジには宗教がある。

帰りは都電荒川線で尾久から王子まで行き、東京メトロ南北線で飯田橋まで帰った。新しい車両が来たので、写したが余り良く写らなかった。