三菱UFJリサーチ&コンサル五十嵐部長「内外経済の現状と展望」セミナー

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異業種交流会フォーチュンの勉強会で三菱UFJリサーチ&コンサルティング五十嵐部長の「内外経済の現状と展望」と題する話を塩見の交流会メンバーの内田洋行さんで聴いた。講演後近くのイタリアンレストランで先生も交えて懇親会を行った。

3月は更に悪くなる。今でも直近3ヶ月で前年比

アメリカ 3.8%ダウン

ヨーロッパ5.7%ダウン

日本   12.7%ダウン

アメリカ発の金融危機が日本の金融機関に与えた直接的な影響は比較的少なかった。それで問題を過小評価した。ところが欧米での金融の悪化が欧米の実体経済の悪化をもたらしそれが輸出を通して日本の実体経済に大きな悪影響を与えた。

サブプライムローンの問題は鼻から返せないと分かっている者にどんどん貸しまくったことが原因だ。信用リスクの過小評価が生んだ現象だ。世界的なデフレ下で過剰流動性が溜まっており石油を買いあさったり食糧を買いあさり鉱石に投機して有史以来の高値を付けたりしている。

流動性とは相手が喜んで受け取ってくれるかどうかで決まる。現金が一番だ。次は銀行預金。現金の供給源は銀行のみだ。国際基軸通貨はドルだ。

■アメリカ証券会社の番付

1.ゴールドマンサックス

2.モーガンスタンレー

3.メリルリンチ→BOAへ身売り

4.リーマンブラザース→時間が有ったので自分で対処すべきとの論拠で救われず倒産

5.ベアスターンズ→救済された

4位のリーマンブラザースが倒産させられたので次は3位のメリルリンチではとの憶測が広まりバンクオブアメリカへ身売りをせざるをえなかった。各金融機関はリスクマネージメント上、資産のキャッシュ化を行い流動性を上げようとした。その結果インターバンク市場が止まり民間への貸し出しも止まった。大企業なら自己調達できるが中小企業や個人では出来ない。金利も9%に設定され貸さない金利になっている。

■ホームエクイティローン=今の住宅評価価格-(マイナス)ローン残高ローンの金利で6%何に使っても良かった。クレジットが足りなくなればホームエクイティローンで返せばよかった。所が住宅価格の下落や金融の逼迫で例えば100万円の融資枠が突然50万になり購買余力が大幅に減った。

アメリカでは石油の税金が少ないので原油価格が上がればガソリン価格は比例して上がってしまう。日本では税金の部分が大きいのでそれほどは上がらない。大型自動車の購買は90%がローンによっている。ローンが借りられなければ買えない。日本では自動車が100落ちると裾野を含めて300のダウンになる。雇用にも影響が出る。悪循環の始まりだ。

米国のGDPの70%が消費だ。米国は物を作っていないので消費=輸入だ。消費が止まれば輸入が止まり輸出国にとっては大問題になる。日本の輸出依存度が高い時期に輸出の大幅ダウンが起こった。1月45%ダウン、2月50%ダウン、3月は?自動車輸出の40%が米国向け。中国への輸出も部品やモジュールなどが多く最終仕向け先は米国なのでこれもガタ落ち。中近東やロシアも石油の下落で不景気。

■円の実効レート=ドルだけでなくユーロその他の通貨との平均で見る。

名目実効円レートプラスマイナス物価=実質実効円レート日本はずっとデフレで海外では年率3%ほどのインフレで推移して来ている。日本の物価は下がって来ているので給料も下がってしまう。海外では給料も3%上がり物価も上がる。結果として日本では海外の品物が買えなくなる。実質レートでは160が過去最高。そこまでになるには今では対米ドルで1ドル=65円にならないといけない。海外の覚めた目では1ドル80円になってもおかしくないと思われている。

トヨタでは1円の円高で300億円の(-)要因。円高になれば輸出産業一人勝ちから輸入産業も利益が増大する。

■今後の展望日本は今輸出依存度が高い産業構造になっており内需での景気回復も世界最初の不景気脱出国になることも結構難しい。今年1年は景気回復は難しいのではないか・・・最後の頼みは中国しかない。何しろ80兆円を2年間で使うのだから。中国では公共工事も直ぐに行える。何しろ土地は国のものだからだ。その上中国では投下資本の数倍の乗数効果が期待される。日本でも公共工事しか頼れるものが無い。