NPO法人JASIPA会員企業アセンディア社主催のグリーンITセミナーが明治記念館で開催され参加した。経済産業省の役人が中心のセミナーだったが結構役に立った。役人はその時その時のテーマに便乗するのが実に上手い。以前は産業クラスターが流行りだったが今は一言も言わない。
経済産業省の現役局長がキーノートスピーチをした。中々良い資料で、統計を駆使した内容でさすがに分かり易かった。パネラーも経済産業省関連の人が多かった。
ご承知の様にグリーンITには二つの側面がある。ITそのもののグリーン化(省エネ)とITを活用しての産業や社会のグリーン化(省エネ)である。ITによる環境負荷は先進各国が大体3%位で日本は何故か1.5%位だそうだ。ABC分析を待つまでも無くITそのもののグリーン化よりもIT活用の産業や社会のグリーン化が圧倒的に重要だ。
経済産業省の商務情報政策局長によればGDP当りのCO2排出量は日本を1とすると中国は11.5、ロシア18.4、インド7.4、韓国2.9、アメリカも2倍以上だ。BRICKsはまだまだ話にもならない水準だし韓国や米国も努力の余地が大きい。都合が悪いと低開発国になり、場合によっては先進国並みに国連で常任理事国というご都合主義の国にはあきれるが。
洞爺湖サミットでは「ゼロエミッションハウス(風力発電、燃料電池、太陽光発電で全てのエネルギーを賄う家)」を展示したそうだ。あまりマスコミでは喧伝されなかった。マスコミの見識も問われる問題だ。
グリーンIT推進協議会やグリーンITイニシアティブなどの組織があり韓国、マレーシア、シンガポールやインドネシアなどのアジアの国や更にはアメリカともグリーンITでのタイアップを進めている。
これから開かれるデンマークでのポスト京都議定書枠組み決定の会合についてはこんなことを言っていた。面白かったので載せたい。地球温暖化問題を400mリレーにたとえれば4人の走者がそれぞれ一人は100mを10秒で走り、一人は20秒で走り、もう一人は110秒つまり2分弱で走り、最後の一人は何と6分も掛けて走っている。400mリレーの時間短縮のために一律に「10%時間を縮めろ」というのは10秒走者にとっては極めて酷な話だ。2分とか6分とか掛かっている走者に時間短縮のアドバイスや手助けをしたほうが全体の時間短縮がコストパフォーマンス良く行くだろうことは明白だ。勿論ここでの10秒走者とは日本のことだ。
京都議定書では既に絞りきっていたのに一律にCO2排出削減枠が決まってしまったことへの無念さがここには漂っている。日本の外交力の無さを露呈したホンの一例だと思うが・・・
こんな話はスポーツの世界でもビジネスの世界でも幾らでもある。スキーのジャンプでは身長や体重に応じたスキーの大きさを決められてしまったし、柔道はJYUDOになった。RFIDでもアメリカ製が国際標準になった。
デファクト又は正式な世界標準を実質的に取れる国にならなければ絶えず追従するのか携帯みたいにガラパゴス化の危険が一杯だ。
先ず英語力が問題なので東京大学などの一流大学は全てに授業を英語で行い海外からの留学生への障壁を低くし、先生の国際化も促し、高級官僚は欧米の大学院を卒業した人しか取らないようにすれば今の情けない「国際交渉力の貧困さ」からは幾分抜け出せるかも知れない。
世界の大学ランクも低い東大の法学部出身者が官を牛耳っているようでは駄目だ。東大からは決して白洲次郎は生まれない。英国で教育を受けた点が彼のアドバンテージだった。日本の教育ではマッカーサーには絶対に勝てない。日本の教育は皆を百姓にしてしまうからだ。獣と戦うにはより強い獣を育てなければいけない。