妻の友人から「まぼろしの邪馬台国」のチケットを貰い、二人で日比谷のTOEIへ出かけた。
今まで吉永小百合は余り好きではなかった。浜田光夫と共演するチンピラ女優のイメージと亀山モデルのTVコマーシャルだけに出てくるオイチイ女優のイメージしか持っていなかった。が、この映画は違っていた。
「まぼろしの邪馬台国」で第1回吉川英治文化賞を受賞した宮崎康平夫妻がモデルになっている映画だ。「島原の子守唄」の作者でもある康平は全盲の文学者だ。妻の和子は眼の見えない康平に魏志倭人伝、日本書紀、古事記などを繰り返して読み聞かせ、立体地図を作ってまぼろしの邪馬台国を求めて九州各地を旅した。
竹中直人演じる康平は常軌を逸した行動や情熱が伝わってくる好演だ。それを支え続けて妻和子の人情の機微を吉永小百合が演じ切った。
ロケをした各地の風景も綺麗だった。特に熊本県宇土半島の干潟の風景は一度行ってみたい、信じられないような幻想的で美しい景色だった。
吉永小百合はとても美しかった。一遍で「サユリスト」になった。
主題歌はセリーヌ・ディオンが歌っている。相変わらず素晴らしい歌声で魅了されるがどうも日本語に気を取られて今一つ迫力に欠ける歌になっているのは残念だ。