アメリカでは熾烈な大統領予備選が、日本では・・・

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アメリカではオバマvsクリントンが激烈で長丁場の大統領候補指名選を戦っている。1票を争う互角の戦いで、泥仕合の様相を呈して来ているのは多少残念だがことの性格上仕方の無いことだろう。

超大国アメリカではこれだけの長丁場の指名バトルを勝ち抜いてはじめて本番の大統領選に出られる。この間に大統領としての資質が大衆の面前でリアルタイムで試される。体力、精神力、バトル能力、忍耐力、プレゼンテーション能力、説得力、当意即妙の対応力、過去におけるあらゆるスキャンダルが白日の下に曝され、個人攻撃も容赦なく行われる。全てが大国の「大統領の資質」として「MUSTアイテム」なのだろう。

翻って日本の状況を観るとお寒い限りだ。大半が・・全部が2世3世の議員からなる自民党の総裁候補が出てきて、その中からいわば順送りで総裁になり総理大臣になる。政治家の資質などは問われない。いわば家業だ。

安倍慎三は能力の限界を超え、政権を途中で投げ出した。今の福田政権も国民の審判を受けないで、自民党の総裁と言うだけの理由で勝手に総理大臣になった。選択のプロセスに国民は一切関与させないで、安倍政権ができ、福田政権もできた。どちらも政治家とは思われないようなナイーブな人たちだ。それが証拠に福田政権は発足半年ほどで馬脚を現し、支持率は30%を切っている。プライドのある人間ならばとっくに辞めている。

英国の復活がかまびすしく報じられているが復活は偶然の結果ではない。英国では国際政治の場で戦え、自国を統治できる政治家を育てるのに格別の努力がなされている。労働党・保守党ともにオックスフォードやケンブリッジの優秀な学生をリクルートし、いろんな経験をさせて政治家としての能力やキャリアを意識的に磨いている。その中からブレアもブラウンも出て来た。何しろイギリスの政治理念はアメリカに勝てる政治家を育てることなのだ。

日本の2世議員の中からの政治トップ選びでは選択の余地も少ない。誰でも知っている通り、親を超える子は少ないのが世の中だ。むしろどんどん悪くなる。親の利権=3バンを受け継いだ政治屋には能力も低く勉強もしない。官僚のノウハウを活用して政治を行うしか手達がない。

元々国力が弱い日本がアメリカに対抗するためには「政治家の個人能力」で勝つしかないのだが現状は極めて厳しい。政治家個人の能力でクリントンやオバマ、マケインに勝てる日本の政治家を私は不幸にして知らない。日本の政治家ではクリントンと殴り合いをしても負けるのではないか。

日本の希望のともし火を絶やさないためには経済再生にもまして政治の再生(この場合のモデルは今どこにもないので明治時代へ帰る)が必要だ。2世議員を一切排して、「松下政経塾」のような政治家のインキュベータを政党が作り後継者を意識的に育てていく必要がある。自民党は2世議員の巣窟だから絶対に出来ない。

東大の官庁離れは既に起きている。優秀な学生を政治の場に引き入れる試みが必要だ。Googleはインターンなどの手を使い東大の優秀な学生を青田買いしている。Googleキャンパスでのインターンシップが決め手になっている。対抗策を用意して優秀な学生を政治の世界へ確保する手が求められる。