グローバル時代のビジネスリーダー

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旧聞になるが、日経の「グローバル企業のクロスカルチャー経営フォーラム」で中谷巌氏のキーノートスピーチがあった。その中でグローバルに通用するビジネスリーダーの必須能力として「高度なコミュニケーション能力」を上げている。

日本企業のグローバル展開も「輸出」「現地生産」を経て第3段階の「経営理念」や「経営戦略」の高度なグローバル化の段階を迎えている。

日本企業は一般にボトムアップの経営が多く、企業理念とかトップのリーダーシップでは欧米企業に見劣りがする。これからのグローバル化では自社の「経営理念」「経営戦略」をグローバルに納得させられる高度なコミュニケーション能力が要求されるそうだ。

以前私がいた会社では英語によるコミュニケーション能力のみが重視され、ビジネス能力はどちらかといえば軽視されていた。事業部長はTOEICで990点も取っていたが海外事業は数千億の赤字だった。ドイツでもフランスでも英語のみで通していた。従って本当の意味でのローカライゼーションになっていなかった。

ビジネスをこなせる優秀な人材と語学力のある人とは同一人でないことが多い。外国語に弱い実務家が多い中で、どのようにして外国語での高度なコミュニケーション能力をつけさせるかは大きな問題だ。

最近、大企業では米国などで現地法人の社長を長く務めた人が本社のトップになり経営実績を上げている例が多い。海外で仕事の中で、OJTで鍛えるのが一番有効な経営者教育なのかも知れない。

こんな話もある。歌手のセリーヌ・ディオンはカナダのケベック出身でフランス語訛りの英語を話していた。これではアメリカでは受け入れられないと悟り、10年以上の長きにわたり英語教師を同伴させてアメリカツアーを回っていたそうだ。日本のビジネスマンもトップクラスについてはこのような方法で個人教授を絶えずつけさせて英語等を学ぶ手はある。