木漏れ日

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印象派の画家オウギュスト・ルノワールは陽の光がたっぷり降り注ぐ女たちをたくさん描いた。彼は「私にとって、絵は楽しく美しいものでなければならない。一そう、美しく。」しかし彼の描いた名画も当初は女性や少女の肌に当たる木漏れ日がまだら模様をつくり「腐った肉のようだ」と酷評されたものだ。今では生き生きとした光の乱舞や風のささやきまで聞こえるような生きとし生ける描写として絶賛されている。時代の変化には恐ろしいものがある。

ところで私の自宅近くに夏の木漏れ日が楽しい桜並木の通がある。オープンカーのときにはどこへ行くのでもここを通るようにしている。春には満開の桜、夏は緑濃い桜並木、秋には紅葉がすばらしい。

今回写真を撮っていて気が付いた。これは桜の枝が素晴らしいのではなく枝の間を通って地面に落ちた光の影が素晴らしいのだと。今までは上ばかり見ていたが道路に描かれた影模様の美しさは新鮮な驚きだった。ただし日光の強い夏だけしか見られない現象だ。もうすぐ紅葉がやって来る。やがて落ち葉の季節になり何もない季節がやってくる。

木漏れ日(視線を落としたら新しい光のモザイクが見えた)