友達から借りて台湾独立運動に半生を捧げた林文堂著「台湾哀史」を読んだ。敗戦で日本が居なくなり、国民党が入って来て統治を始めた。その後蒋介石が中国共産党に負けて敗走してきて、直接統治を始めた。国民党の台湾人への差別や圧制、虐殺などについて詳しく書いている。スパイ活動や密告の仕組みなど生々しい。
著者も命の危険に晒され、最後にはアメリカ船で密航して日本へ亡命する。
この本を読むと全てがうまく行っていたかに言われている日本の台湾統治についても???が並ぶ。統治するものとされるものとではこうも受け取り方が違うものかと思った。幾ら「善政」をしいたところで植民地の統治はあくまで「植民地支配」でありそのほかの何者でもない。植民地化や他民族の支配そのものが「悪」なのである。
台湾独立運動に係った人達は国民党の支配は早晩崩れると読んでいた。人口比で圧倒的に劣勢だからだ。しかし最終局面での「国共合作」を一番恐れていたようだ。
中国とアメリカの力関係が中国有利に大きく傾けば台湾併合が現実の問題になる。そうなれば独立運動家が最も恐れていた「台湾の永久中国化」が実現してしまうだろう。