「新日韓関係の方途(渡部昇一+呉善花対談集)」を再読

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「大東亜共生圏のすすめ」の副題が着いたこの本を再度読み返した。前に読んだ時よりもより深く感じる所があった。この本は「ブックオフ」でたった105円で買った本だ。しかしお隣の韓国と日本の関係を思う時にとっても気になる本の一冊だ。

日本と韓国の違いについて歴史的な由来や何故について対話の大半が費やされている。奇異に思ったのは多分韓国では平均以上の知識人である呉さんが自国の歴史について渡部さんよりも知らないことだ。渡部さんが知りすぎている面もあるだろうが韓国の歴史教育に由来する所も多いのではと思った。

韓国ではハングルを取り入れた当初は「漢字ハングル混じり文」で行っていた教育が今や「ハングルのみに統一」されている。その結果は歴史的文献や過去の文芸を中心とする文化に直接触れることの出来ない大量の国民を生み出した。同時に歴史学が「今のWants、Needs」に従って都合よく改変されることが多くなったようだ。反日教育に都合の悪い歴史的なファクトは葬り去られているようにも思える。トップダウンの国ではトップの大統領が変わると過去の歴史さえも変わる。

強大な中国の影響下から脱して独自の文化や文字を持ちたいという民族の悲願の先にはご都合主義が待っていたようだ。若い世代は漢字が読めないので過去の文学や歴史書も読めない。史実に基づく歴史を共有出来ないで、また過去の漢字文化を共有しないで、「国としてのアイデンティティーやプライド」が保てるのか心配だ。ポピュリズムやプロパガンダのお先棒担ぎになってしまう危険性が多いにある。

後記

朝鮮戦争で日本は漁夫の利を得たと非難する韓国の人は多い。実際はアメリカがこの戦争で共産主義の南進(domino)を心底心配し、日本が明治以来ずっと取っていた対ロシアの防衛拠点としての朝鮮半島の地政学的な重要性を初めて理解したことだ。この許認可が復興の出発点になった。ダムは流れ出した。

それまで日本の産業化を拒んでいたアメリカが防共拠点としての日本の存在の重要性に気づき工業化も許した。その結果が日本産業の復活に直接繋がった。

「朝鮮戦争特需」はきっかけに過ぎなかったようだ。元々日本には高度な工業技術があった。技術力が無くてはあの壮絶な消耗戦であった太平洋戦争は始められもしなかったし、あそこまで戦っては来られなかった。これは歴史の事実だ。