週刊東洋経済の特集「中国新次元・・世界最大の国家改造が始まった」を読んだ。中国では地方政府による不正な土地利用を取り締まるために人工衛星による監視を行っている。1978年に始まった改革開放は労働力や土地などの要素価格の安売りで高度成長を成し遂げた。だがそのツケは「環境破壊」「都市と農村の格差拡大」など甚大なマイナスを残した。今、中国経済は大きな転換点を迎えている。
今日の日経にも「中国の法人税改革」が囲み記事で載っていた。中国では従来、利益が出てから2年間は税金免除、3年間は半減する「2免3減」を行ってきた。今後の中国にとって有用なハイテク企業や環境企業などでは従来の税制が適用されるようだ。未だその基準は決まっていない。進出企業にとっては悩ましい季節を迎えた。今後海外展開をする中・低度な産業はヴェトナムなどを具体的な選択肢として検討を始めている。
■中国が目指す5つの大転換
1.労働集約型から高付加価値型への産業構造の変換
2.成長至上主義から持続的安定成長へ
3.地方間の不公平是正して格差社会から調和社会へ
4.極端な投資依存から消費との二頭立てへ
5.資源浪費・環境度外視から資源節約・環境配慮型へ
これらの政策を実現するために、地方幹部の評価尺度も従来のGDP成長率から環境保護・省エネの進捗が入れられた。「4つの化」がキーワードだ。工業化・情報化・都市化・国際化だ。
「都市化」を例に挙げれば毎年1,500万人を農村から都市へ移して農業の規模拡大と生産性向上を図る。我々の実感では中国製の野菜などが激安で国際競争力があるように思いがちだ。実際には小規模で規模の利益が享受できず、食糧の自給などで困っている。
中国の政治や経済は多くの問題点や矛盾を抱えている。これらの壮大な実験が成功するかどうかは今の体制で利益を享受している人達の特権を棚上げ出来るかどうかにかかっている。改革は何処の国でも難しい。