1.「日本人の国際競争力」㈱岡本アソシエイツ代表 岡本行夫さんの話
世界的に日本のプレゼンスが落ちて中国のプレゼンスが勢い良く上がっている。このままでは日本の影は薄くなるばかりだ。中国では国のトップが絶えず「国際社会における中国の地位を強くする戦略」を考えている。裏にはかって4千年の大国だったのに西欧に馬鹿にされ続けた近代100年の悔しい思いがあるに違いない。この100年の成功で安心して、のほほんと国内の政争に明け暮れたりしている日本とは違う。一丸となった凄いパワーがある。
以前のドイツ首相シュレイダーは毎年中国へ行っていた。何故日本へは来ないのかと聴いたら「ドイツはものづくりでは絶対に中国に勝てない。どうしたら中国に勝てるのかを勉強するために行っているのだ」との答えが返って来たそうだ。
アメリカも上下両院の議員が訪問団を組んでここ数年で中国を数十回訪問しているそうだ。その間に日本訪問は数回だそうだ。
日本は国連「常任理事国」入りの大キャンペーンを張った。ヨーロッパではドイツの常任理事国入りで11カ国が共同提案国になっている。ところが日本の場合にはブータン、モルジブ、アフガニスタンの3カ国だけだった。巨額のODAを出し続け、人材を派遣して国の発展に寄与してきたはずなのに何故なのか?中国が反対に廻って一大キャンペーンと脅しをかけた結果だそうだが、それにしても「惨憺たる外交の失敗」だ。フィリッピンまでもが外を向いてしまった。日本では新聞も大きくは取り上げないので問題にもなっていない。国民には何も知らせないのだ。これでは封建時代と同じだ。政治も新聞も外交音痴だ。
工作機械になくてならないタングステンは90%中国に押えられた。タスマニアに1箇所鉱山が残っていたがそこも中国に取られた。力ずくだ。タングステンが欲しければ工場を持って来い、技術も持って来い。となっている。鉄を削るバイトの先へつけるタングステンが無ければ工作機械は何も出来ない。ドイツを凌駕した日本の工作機械だが、中国が大きく「禁じ手」で立ちふさがってきた。「中国には禁じ手はない」ことを初めて知ったのが今の日本人だ。
シリコンバレーでも中国人の存在感は大きい。以前はインド人が頑張っていたが、Amazonが暴落したITバブルの崩壊で脱落した。その抜けた所へ中国人がすっぽりと入った。その結果シリコンバレーではアメリカ人70%、中国人20%、その他10%になった。アメリカの有名大学を優秀な成績で卒業し、ローレンス・リバモア研究所などを経由してベンチャーになっている。残念ながら日本のIT中心のベンチャーとはレベルが全然違う。格段に上だ。その人たちの一部が本国へ帰り始めている。北京には100社以上のこの様な企業がある。4分の一は女性だ。
日本には熱狂が無い。「3丁目の夕日」の時代にあった「ひたむき」と「明日はもっと良くなる」との実感。今やそれがない。ホモジニアスで安心して住める国だが、国際感覚に欠け、差別用語の廃止など些細なことに一生懸命になる。報道でも重要性に従って時間配分を変えるとかの配慮が全く無い。すべて民衆の興味本位だ。
中国人は国際社会でも重要度を増してきている。国際会議とうでも前向きな姿勢で、英語も巧く、TPOを心得た発言と話の内容に哲学を持ち、日本人よりも数段上になってしまっている。
シャーロックホームズと助士のワトソンではものの見方、感じ方それから導かれる結果に大きな違いがある。「どうしてもこの事件を解決するぞ」の強い動機付けのあるシャーロックホームズとそれのないワトソンでは決定的に違ってしまう。使命感が結果を変える。
これは日本と中国との「外交」を寓意したものだ。実に残念だ。
私の感想としては間違っているかも知れないが岡本さんが多く付き合っている「外務省関係のミッションの無い人たち」が結果を悪くしているように思える。上海総領事をされた方の書いた「大地の咆哮」を読んだがこれはいわゆる日本のチャイナスクールの例外中の例外の人が書いた本だと直ぐに悟った。勿論外務省でも例外な人のはずだ。勿論偉くはならなかった。最近亡くなったそうだ。
「国際会議とうでの日本人の発言うんぬん」の話があったが、今までの日本の外交官は国際会議で「何も喋らないのを良し」としていたと聞いている。何か喋ると援助額を増やされるからだそうだ。これでは東南アジアの国へ観光に出かけて、物乞いが来たら目を合わせないようにして通り過ぎようとする日本人観光客となんら変わらない。
卑しくも「外交官」たるもの、発言の機会を与えられた国際会議の場で何も語らないなどはあってはならないことだ。プレゼンスを強化する絶好の機会だし、場合によっては新人を鍛える絶好のチャンスではないのか。岡本さんといえども外務省はなんだか変だ。軸が狂っている。
2.地域活性化のパラダイムシフト 富士通総研取締役 臼井純子さん
岡本さんの話を聴いたら帰るつもりでいたが、最近興味をもっている「地域活性化」「町おこし」のテーマだったので時間を延長して聞いた。臼井さんの話は内容が素晴らしかった。
地域活性化の取り組みが大きく変わってきていることを話された。FRIが事務局を努めるボランティアホリデーや地域振興の事例などを話された。
事例1.ボランティアホリデー
ボランティアホリデーでは農業だけではない多彩なプログラムがある。「良かったら定着してしまおうかな」見たいな人を歓迎しているそうだ。北海道、山形、高知などにある。
事例2.シーニックバイウェイ
沿道の環境や景観等を保全整備して観光にも役立てようとするプログラム。「シーニックバイウェイ北海道」の事例紹介。国土交通省では「日本風景街道」を提唱。平成18年度全国から72ルートが応募した。日本風景街道よりみち中越の事例
海外事例1.フランスの最も美しい村(Les plus beaux villages de France)
リーダーズ・ダイジェストが選んだ最も美しい村100選の中から66村が共同でプロモーションを行っている。なんでも格付けの好きなフランス人らしいやり方だ。条件はいくつもあるらしいがもっとも重要なのは人口2,000人以下、村に2つ以上の地域資産がある、協会方針への賛同と村議会での可決の3点だ。
Gordes、 Roussillon、Lourmarin(アルベール・カミュの墓がある)などの村が登記されている。これらのホームページではもっと詳しく見ることが出来る。一部のホームページには英語のページもある。ホッー。
■国と地域の役割
・国は地域を信頼して任せ、明確な評価基準の下に支援
・地域はOne &Only戦略を目指す
・時間的空間的にマイオピア(近視眼)にならないようにする
・独善的な自立ではなく「自律と広域連携」を目指す
■地域活性化のポイント「ひと」
・キーワードはよそ者、若者、ばか者
・よそ者:外部の人、移住した人
・若 者:フットワークの良い人、精神年齢の若い人
・ばか者:地元の熱い人、使命感を持った情熱的な人
■結論
・あなたは「よそ者」?「若者」?それとも「ばか者」?ですか。