「カースト制度の伝統と近代化」シンポジウムへ参加

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妻の知り合いの関係で(財)国際仏教興隆協会の仏教講座シンポジウム「カースト制度の伝統と近代化」に参加した。大正大学名誉教授の佐藤良純先生を講師に迎えて、東京青山の東京・青山文化村(梅窓院祖師堂:青山墓地を見ているお寺)のホールで開かれた。100名ほどが出席されて盛況だった。

シンポジウム風景(最後に僧正が素晴らしいお話をされた)

インドのカースト制度について定義・特徴、歴史的展望、カースト起源論、四ヴァルナ制の成立、イギリス植民地下のカースト制度、差別廃止の運動について、などのテーマについてプロジェクターを使い簡潔に話された。

ヴァルナ(色)とジャーティ(生まれ)が制度の基本だ。ヴァルナ(色)はBC1500年~BC1200年インド亜大陸へ進出したアーリア(「神則を守る」「高貴な」の意味)人が自分達よりも色の黒い先住民を「ダーサ」(ダサイの語源?)「ダスユ」と呼んで差別したのが始まりだそうだ。年期の入った「差別システム」だ。

この考えの延長線で言えばインドの最上級のバラモンといえども白人には「劣等感」で臨むしかない。悲しく貧しい考えだ。これでは「仏教国」もお釈迦様の教えも滅びるわけだ。インドの仏教徒は数%だそうだ。仏教に改宗すればカースト制度の「桎梏」からは逃れられるが、今受けているそれなりの特典や保護が受けられなくなり生活が成り立たないのだそうだ。全ての根っこには「貧困」がある。

IT産業や不動産業、コールセンター業などの発展で一部改善は見られる。ただし事「結婚」となれば結構難しい問題を抱え込んでいるようだ。「改善は100年の単位で行われるだろう」とは講師の先生の御託宣だ。カースト制度と直接の関係はないかもしれないが持参金の少ない妻を事故に見せかけて殺すことも結構あるそうだ。ここには倫理観のかけらもない。今の日本よりも「凄い」。

4,000年もかけて作り上げたシステムであり、改善にはそのくらいのタイムスパンが妥当なのかも知れない。とは言っても、BRICsの発展は予想外の展開(変身)をもたらすかもしれない。・・・未来は分からないから面白い。