葛飾北斎「富嶽36景(神奈川沖浪裏)」は波頭を1万分の1で切り取

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今日は浅井慎平さんの「俳諧と浮世絵」なるテーマでの話を聴いた。俳諧の話は余り無かったが、浮世絵をカメラマンの視点からコメントされた。

只ぼんやりと「美しいな」とか観ていた浮世絵の世界を自分で創る立場(鑑賞の裏側)から覗いた気がした。

北斎の「富嶽36景(神奈川沖浪裏)」は写真で言えば1万分の一、5,000分の一シャッタースピード・魚眼レンズで切り取った一瞬の世界を表現している。

北斎の時代に5,000分の一のシャッタースピードのカメラは存在しない。王貞治選手は打撃に開眼したとき剛速球が止って見えたそうである。

北斎は心眼で大海原の大波を1万分の一のストップモーションで表現した。動きの激しい大波のオドロオドロシイ世界を「心で止めた」。

心象を絵(具象)にする能力にも構成力にも優れている。北斎は90歳で新しい境地に達してなお、「あと10年生き延びてやりたいことがある」と言われたそうである。

今でこそ「智の世界」では年齢は関係ないといわれている。既に江戸時代にコンテンツの世界では「エージレス」になっていた。