研究所の業務監査

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今日は社外監査役を務める会社の研究所の監査を行った。今回から単なる業務の監査ではなくテーマを決めてそのテーマに沿って掘り下げて監査を行うことになった。今回のテーマは「研究所は研究で会社に貢献しているかどうか」であった。

リカードの比較生産費説を持ち出すまでもなく、生産工程での比較優位を失った日本の製造業にとって利益の源泉は今や「研究開発」だ。

生活費は食料の生産費が高くて極めて高い。農家1軒当り2.6人の農協職員がぶら下がっているとの記事を見た覚えがある。物流費も高速道の高額・燃料の高さ・都市圏交通システムのヘボさで世界的な高額だ。原料・材料も同じ理由で高額だ。血のにじむ努力をして、組立工程でロボットによって、例え人件費をゼロにしても追いつかない。

今日の新聞によれば昨日の「国幹会議」で効率に問題のある地方の高速道路を全線整備することが決ったそうだ。これでまた国全体の効率が落ちる。ますます民間で頑張るしかない。

研究所の監査では売上への貢献、利益への貢献、幹部の利益貢献の重要性認識、研究テーマ選定での利益貢献期待値算出とプライオリティ付け、研究プロセス管理のやり方・妥当性、クリティカルパスと阻害要因、他部門との協調・協働、所内情報共有、絶対額の大きな経費の有効的な使い方、などなどきついテーマで3時間ほど話し合った。

研究所のオブジェ型?傘たて

 分かったことは「研究所は思ったよりもずっと良くマネージメントされている」ことだった。むしろ問題は研究所を取り巻く営業、技術、生産等の「研究所依存体質」が研究効率を著しく妨げていることだった。

「研究所が社内唯一のナレッジ・センター」になり、周りの人達が自分で考えることや責任を取ることを放棄して、「おんぶに抱っこしている」現実がそこにあった。問題は結構根が深い。処方箋は未だない。