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NHK総合「神様の女房」放映中

神様とは、経営の神様「松下幸之助」をいうが、その神様を支えた妻「むめの」夫人に焦点をあてたドラマである。両親も既になく、八人兄弟も姉一人残してすべて夭折。さらには病弱で借家住まいで財産の一欠片もない大阪の電燈会社の電気工である幸之助氏(20歳)に淡路島の船乗りの会社社長の愛娘むめの(19歳)が嫁ぐ。当時「むめの」の縁談話で最も条件が悪かったと言います。しかし、「むめの」の生来の挑戦魂と行動力が、かえって何もない幸之助氏を選ばせたのです(実は「むめの」の弟が三洋電機創始者の井植歳男氏で、幸之助氏がソケット製造会社を創った苦しい時に手伝った)。

電燈会社で、自分の提案が上司に受け入れられず、生活の目途もたっていないのに勝手に会社を辞めてきた時、自分の会社を創ることを後押ししたり、家族経営で社員のための寮制を取り入れたりしたのも「むめの」である。この寮制を敷き、食事など一切の世話をしたのはもちろんですが、躾教育にも自らかなり力を入れ、そのお陰で、社員の行儀の良さが評判を呼び、事業にも大きく貢献したと言われています。幸之助氏が後世「松下電器は何を作っているかと聞かれたら“人をつくる会社です。あわせて電気製品も作っています”と言いなさい」と言われたのも、その原点は「むめの」の考え方にあったのです。

NHKでは10月1日から3回シリーズで放映中です(毎週土曜日9時~)。後1回だけとなりました。松下家の執事を長年務められた高橋誠之助氏が著した「神様の女房(ダイアモンド社)」をドラマ化したものです。その高橋氏曰く「松下電器の創業者は幸之助さんだけではない。もう一人創業者がいらっしゃったのだ」と。

「内助の功」の力は大きい!

国際成人力調査実施中???

9日の朝日新聞朝刊13面の「ザ・コラム」に「いま日本各地で無作為に選ばれた大人5千人が難しい国際試験に挑んでいる、というか挑まされている。国際成人力調査」PIAAC)世呼ばれるテストだ。」とあった。これは2000年から2009年にかけて各国の15歳の生徒に国語、数学、理科の同一問題を解かせ国別ランクを発表する経済協力開発機構(OECD)が実施する国際学習度到達度調査(PISA)の大人版らしい。PISAでは日本の学力が中国、韓国などアジア勢にも負けているとのショッキングな結果となってショックを受けた記憶を思い出される方もいると思う。が、今大人版で5千人がチャレンジしていることをご存じだろうか?

OECDの仕掛け人に成人力とはと聞いたところ「企業が国籍を問わずに社員を採用する時代、国の枠を超えて優秀とされる人材が持つ力」とか。試験でわかるの?「筆記試験では無理。対象者の自宅を調査員が訪ね、実社会に即した設問を示す。その成績と各人の職歴・収入の連関を探る」。

コラム氏(山中季広ニューヨーク支局長)曰く「世界の労働市場から見ると日本型の人材は魅力を欠いている。上司からの指示には忠実だが、提案力には欠ける。手本のある仕事なら得意だが、前例がないと二の足を踏む。自分と同質な集団には溶け込むが、異質な人々との協調は怖がる。海外市場が求めるこれからの人材とは対照的だ」。さらに続けて「日本の若者が就職氷河期に苦しんでいると知っても外国企業や国際機関は一向に手を伸ばしてこない。日本の高等教育がグローバル化に対応していないことを知っているから。海外に進出した日本企業も外国の採用に励む」。さらに知識偏重型の試験システムから、異質な人々とともに難題を解決できる突破型の人材育成への転換を主張している。知識はネットに接続すればだれでも得られる世界だから。

5日に開かれた「JISAコンベンション」で女流棋士で現日本棋院岸会長の小川誠子(ともこ)さんの話を聞いたが、数学オリンピックで上位の成績を収めた学生が、囲碁を覚えて言ったそうだ。「正解のない世界を知ることが出来た」と。

今朝の日経に「社長100人アンケート」が掲載されている。その中で外国人の起用や日本人の海外駐在などで「グローバル人材を拡充する」という回答は85.6%となったことが報告されている。

この成人力調査は26か国が参加し2年後に結果が発表されるらしい。 日本の成績がどうなるか不安だが、大きな問題提起として捉えたい。

スティーブ・ジョブス氏逝去を惜しみ、ショブ氏に学ぼう!

ジョブ氏がこの世ににいなかったら、どんな世界だったろうか?35年に渡って世界の情報産業をリードし、数十億人の生活を変えた功績は大である。なぜ次々と多くの人たちを魅了する商品を出し続けることが出来たのか?

「スティーブ・ジョブズ脅威のイノベーション(カーマイン・ガロ著、日経BP社)」がこの7月に出版された。副題は「人生・仕事・世界を変える7つの法則」。これを読むとヒット商品というのは生半可なことではダメというのがわかる。7つの法則を簡単に説明する。

  • ①大好きなことをする:情熱なしではイノベーションはあり得ない。取りつかれたと思うほど情熱を傾けなければ生まれない。アイディアに取りつかれれば他のことなど考えることはできない。
  • ②宇宙に衝撃を与える:ビジョンに賭ける。そして夢の実現に意欲を燃やす最高の人材を迎え入れる。ビジョンが「簡潔・具体的・徹底的」で、共感者を納得させるものでなければならない。その人たちがさらに伝道者(エバンジェリスト)になって世界に広がり、具現化の力になる。
  • ③頭に活を入れる:イノベーターは様々な疑問や課題を上手につなぎ合わる「連関力」と、「疑問力」「実験力」「ネットワーク力」「観察力」を持つ。これらを活かすことで創造的なプロセスを始動できる。
  • ④製品を売るな。夢を売れ:ジョブスは顧客のことをよく知っている。「僕等は、まず自分が欲しいものが何かを把握し、そして同じものを多くの人も欲しがるかどうか、きちんと考えること」がアップルは得意だと。他のマーケッティンググループに任せず自ら考える。
  • ⑤1000ものことにノーと言う:素晴らしいアイディアでも思い切って捨てる。そうして絞り込むことによって、選んだものに大きなエネルギーを注ぐ。
  • ⑥めちゃくちゃすごい体験を作る:明快で魅力的なビジョンがなければイノベーションは生まれない。「暮らしを豊かにする」、従来の常識を破り、アップルの小売販売店に来たお客の便宜を徹底的に図って大成功を収めた(すべての商品が)インターネットにつながる、レジではなく店員全員が持つクレジットカードリーダーで決済しレジがないなど)。
  • ⑦メッセージの名人になる:折角のものも、多くの人が好意的に取り上げてくれないとイノベーションには発展しない。効果的なプレゼンテーションは欠かせない。

我々の商品を、迷いなく、堂々と自信を持ってお客様に説明できていますか?松下幸之助氏は営業マンにこう言われた。「自分が販売している商品を抱いて寝ろ!そしたら商品からどう売ってほしいと話しかけてくる」と。近江商人は言った。「お客の欲しいものは売るな。お客のためになるものを売れ」と。取り憑かれるほどの情熱を持っての商品開発・販売、そしてプレゼン力など、ジョブ氏から自分の甘さを知る。今朝の日経社説「ジョブ氏の創造性に何を学ぶか」、ぜひこの機会に省みたい。